ブックタイトルRooT No.18
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RooT No.18
■学習指導要領の改定を見据えて■図3『中学数学1』P.232このデータは家から駅までの2ルートの各20回分の所要時間(分)です。これは量的(主に連続量)に当たり,現状の把握と2ルートの比較が問題となります。表に示された表現(ヒストグラム,箱ひげ図,代表値,範囲(最大,最小),四分位範囲)でこれらの分析目的が満たされます。教科書にはヒストグラムが示されていますので,箱ひげ図を示してみましょう(図4)。箱ひげ図を用いると,中央値,範囲,四分位範囲の比較が簡単であり,それぞれの意味することがよくわかります(この図はMicrosoft Excel 2016で作成しました)。所要時間(分)555045403530箱ひげ図A B図4所要時間(分)の箱ひげ図さて,この分析目的をより深く考えてみましょう。なぜ,この2ルートを比較しなくてはいけないのでしょうか?統計教育は“なぜ”から始まらないといけません。どうしてこの2ルートの駅までの所要時間の分布に違いが出るのでしょうか?これらのルートには何も描かれていませんが,踏切などがあるのでしょうか?時間帯による渋滞が関係しているのでしょうか?これこそ,アクティブラーニングの始まりとなります。急いでいるときはどちらのルートを選択するべきですか?その答えは1つではありませんが,混雑する理由である場所や時間帯を明らかにすればよりよい答えが見つかるでしょう。この例でわかるように,数学の教科書には表・図・計算方法のみが説明されていますが,その背景を皆で議論することが重要です。このことは,社会科や理科などの教科に任せるのではなく,数学の授業においてこそしなくてはならないのです。6.ICTと統計教育最後に,ICTについて書きたいと思います。統計の授業で問題が提起されたならどのようにデータを集めるかを考えます。かつての授業では,身近なテーマについて児童・生徒によるアンケート調査が基本となりました。しかし,ICTの技術を用いることによって,総務省統計局をはじめ,各省庁,都道府県や企業のオープンデータが利用できます。さらには,身近なビッグデータを利用することにより今までにない調査ができます。2016 No.183