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概要

RooT No.18

これからの統計教育新たな統計の授業に向けて近畿大学教職教育部講師西仲則博1.資料の活用領域がもたらしたのは現行の学習指導要領が発表されたときに中学校の数学に統計の内容が復活し,確率と共に「資料の活用」領域となりました。あの時には,数学の先生の「統計?」「習っていません」「わかりません!」という声が聞こえたものです。しかし,理数教科の先行実施が行われる中で,徐々にその声が聞こえなくなってきました。それはなぜでしょうか?全国学力・学習状況調査や入試で出題されるようになったからでしょうか。それとも,普段の生活の中で統計や確率の考えを使っていることに気づいたのでしょうか。教えるのに慣れてきたのかも知れません。でも,やっぱり授業中の生徒の顔や反応が一番ではないでしょうか。「普段,数学の授業を聞いていない生徒が,自分の意見を言っているのですよ」という声をよく聞きます。資料の活用の授業はこのような力を持っているのですね。では,なぜ,このような反応が起こるのでしょうか?一つには,他の数学の内容のように抽象的なことが出てこないからでしょうか。いや,内容が生活に密着しているから考えやすいのでしょうか。グラフや表をかくので,「見える化」ができるからでしょうか。色々な解釈ができ,多様性があるからでしょうか。活動することが多いからでしょうか。これらの全てが,あるからこそ,生徒たちが活き活きと学習するのだと思います。「資料の活用」は数学の授業に新しい風を吹き込んだのではないかと思います。この事を大事にしていきたいです。2.新しい学習指導要領では…。新しい学習指導要領の改訂作業が進められています。その概要については,文部科学省のホームページで見ることができます。その中の第8回算数・数学ワーキンググループで示された「参考資料4小・中・高等学校を通じた統計教育のイメージ,内容等の整理」(平成28年5月24日開催)によりますと,1統計的に分析するための知識・技能を理解し,日常生活や社会生活の場面において問題を発見し,調査を行いデータを集めて表やグラフに表し,統計量を求めることで,分布の傾向を把握したり,二つ以上の集団を比較したりして,問題解決や意思決定につなげる。2データの収集方法や統計的な分析結果などを多面的に吟味する。が大きく現行と変わるところでしょう。1は大きく分けて2つの事があります。1つは,問題発見・解決のプロセスが示されていることです。6 2016 No.18