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概要

ROOT No.19

――なんでも自分と関係ある?でも,それだとどうやって将来を考えたらいいんですか?少し難しいことですが,一歩引いて物事の全体を見通す姿勢が大事です。きらいま,嫌いで勉強したくない科目も15年後,じく20年後には役に立つかもしれない。大きな時間軸で考えるとムダなものなどありません。小中学校時代は,スポンジのように何でも吸収できて無限の可能性があるのだから,「やりたくないことはやはばらない」と最初から知識の幅をせばめてしまうのはもったいない。全体を見通して,いま何をなすべきか考える力を子どものうちから身につけていると,将来大きく差が出ると思います。「いま」と将来の「目標」をステップでつないで考える――具体的にどうやって考えればいいんですか?「言葉つなぎゲーム」がここでも有効です。「将来なりたいもの」が「プロ野球選手」だった場合,一方にそれを置いて,もう一方に「いまの自分」を置く。いくつかのステップを加えて,「いまの自分」から「なりたい自分」にたどり着く過程を,小説のようにシナリオを作って考えるのです。つねに,「いま」と遠いところにある「目的・目標」を,ステップでつなげて考えていく。実は研究でもそうなんです。どんなことでも「現実」と結びついた,社会の役に立つという「目標」「ビジョン」をもつことが大事なんです。これからの将来を考えるときも同じだと思います。――いま先生が解決したい問題はなんですか?じゅうたい「コミュニケーションの渋滞」ですね。いまはインターネットで簡単にメッセージがやりとりできるようになりましたが,言葉の意味は伝わっても,感情などは深刻なのか,軽いのかという程度を伝えることができません。顔文字で補うのですが,限界があって誤解が生まれる。これが「コミュニケーションの渋滞」です。わたしの専門は「渋滞学」ですが,最近,社会のさまざまなところでコミュニケーションが渋滞し,それが原因で会社や組織の生産性が下がるなどの問題が発生しているように思います。ネット上でのやりとりもその一例です。絵文字びみょうもありますが,文字だけでは微妙なニュアンスが伝わりません。ふざけているのか,本気なのか,わからない。でも,会って話せば「そんなことだったのか」と気づくこともよくありますよね。いろんな世界を経験し,ときには失敗することで人間として大きく成長できるのです言葉によらないコミュニケーション力をみがこう――誤解されないためにはどうすればいいですか?言葉によらないコミュニケーション力をフルにふんい使うことです。簡単に言うと,仕草や目線,雰囲き気などのメッセージを感じとる能力です。だれかが困っているときに,察して声をかけられるような人は,その能力が高い人といえます。「何かおかしいのではないか」「いつもと様子がちがう」と感じる感覚も言語によらない能力です。いわかんその違和感の原因を調べて解決することも大切です。ある工場のベテラン作業員は,音の微妙な変化から機械の不調を感じ取ったそうです。その人が止めなければ,工場全体で大きな損害が出ていました。こうしたコミュニケーション力は,先ほどの全4算数・数学情報誌ROOT vol.19