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概要

ROOT No.21

【重松】 一番伝えたいのは,統計は自分から遠い所にあるのではなくて目の前にあるということを意識してもらいたいということです。日々の暮らしの中にも具体的な事例があります。指導上の話は別にしても,統計は社会に役立っているとか,儲かるものだ,といった話でもいいのです。そういうことを生徒に伝えるためだけではなく,先生自身も納得できるような経験をしてもらえればいいなと思います。その経験をもとに,統計が,自分自身の行動の判断の助けになり,少しでも安心な行動が選択できるようになる,という事を伝えてもらえればと思います。【中西】 統計を数学だと思うと気が重い方へのオススメとしてですが,「統計関係の歴史」は調べるのが楽しくて仕方ないです。統計関連の歴史上の有名な人物というと,統計的な手法を使って医療現場の衛生面の改善に努めたナイチンゲールの話がありますけど,日本でも有名な人が統計に関わっていたりします。例えば森鴎外と脚かっ気けの話があります。(「統計的に麦を食べれば脚気にかからない」という海軍の軍医のアドバイスを森鴎外が信じなかった話) 日本でも多くの歴史的に有名な人物がキーになって統計を進めたり,または後退させたりしているわけです。そのような歴史を先生たちにも知っていただけると,また一層,統計の見方が変わってくるかなと思います。そういう話は子供たちにとっても面白いと思うので,授業の前振りで使うこともできると思います。【須藤】 大学でチェビシェフの不等式の証明というのをやっていたのですが,これがどう役に立つのかわからずに証明だけ覚えるようなことをしていて,「統計って使えないな」と思っていました。物凄く高い学者レベルの統計だったわけです。ただこの1年間,中西先生から教わって,「箱ひげ図」などを使って身近にあるデータを見て,そこから楽しんでいきましょうね,ということを共有できました。そういったものを先生同士で共有していきたいですね。【西仲】 統計はいろいろな見方ができるんだというのが楽しいところなので,多様な意見が出ることを否定せずに,楽しめるかどうかが大切です。また,国語でも論理的な文章を読み,データをみて判断させる内容もあります。理科・社会は当然データを扱うので論理的なものの見方が必要です。算数・数学が担うのはその基礎となるリテラシーの部分。そういう各教科どうしのつながりを考えていければ授業が豊かになるんじゃないかと思います。教科同士をつなげることができるのが統計の良さかな,と。統計って先生・生徒の味方なのかなと思いますし,ぜひ統計を楽しんでください,と伝えたいです。す。そうしないと,日本は何もできない国になってしまいます。国民全員が「どんなリスクがどんな確率で起こるのか。リスクが発生したときは何をすればより良いのか」を考え,議論していけるようになれば,現実的な判断が速やかにできるようになると思います。 現場の先生方へ算数・数学情報誌 ROOT No.21 9