ブックタイトルROOT No.21
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ROOT No.21
では,小数(十進小数)の概念は,いつごろ生まれたのでしょう? 古代中国では『九章算術』(紀元前1 世紀頃)という数学書に小数の表記を見つけることができます。ここでは,たとえば「234.56寸」という長さを「二百三十四寸五分六厘」と表しています。 一方,現代の数学につながるヨーロッパの数学では,小数の登場はずいぶん遅れました。1492 年,フランチェスコ・ペロス(1450 ~1500)が商業数学が発達するイタリアのトリノで小数の概念を発表します。そして1585 年,日本で豊臣秀吉が関白になった頃,フランドル(現在はベルギー)出身のシモン・ステヴィン(1548 ~ 1620)が『十分の一』の中で小数の表記法を発表します。「ネイピア点」と呼びたい!?参考文献『 不思議な数eの物語 』,E.オマール,伊理 由美訳(岩波書店,1999 年) しかし,この頃にはまだ小数点はありません。ステヴィンは?,①,②,③などの○で囲んだ数字を使って位を表しています。 27.847 → 27 ? 8 ① 4 ② 7 ③ では,小数点を発明したのは誰なのか――それがネイピアです。彼の死後,息子のロバートによって1619年に遺稿『対数の驚異的一覧表の作成法』が出版され,この中で小数点を使った小数の表記方法が提案されます。この小さく偉大な「点」は,対数とともに世界中に広まることになります。 小数点は,もうすぐやっと400 歳を迎えます。小数の歴史は分数に比べて非常に短いのですが,小数は私たちの生活になくてはならないものです。自然対数の底e(= 2.71828……)を「ネイピア数」と呼ぶのと同様に,小数点も「ネイピア点」と呼びたいくらいです。算数・数学情報誌 ROOT No.21 11