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概要

ROOT No.21

言えます。 平成29 年度全国学力・学習状況調査に,万華鏡の事象を図形的に捉え,その仕組みを数学的に明らかにする問題があります。 まず,万華鏡の模様を,基本図形(正三角形)に着目し,その対称移動で作られる形として再構成する力が問われています。万華鏡は誰でも見たことがありますが,その仕組みまで考えたことがある人はあまりいないでしょう。ここでは「隣り合う正三角形がすべて,共通する辺を軸に線対称になっている」という文の意味を読みとり,その見方で図形を吟味する必要があります。 (1)では,文字R が書かれた中央の三角形に着目し,他の三角形が辺を軸に対称となっているかを吟味します。このときRという字全体というより,構成要素の辺や点同士が対称かどうかまで踏み込んで捉える必要があります。 新しい学習指導要領が告示され,数学科の目標として,「数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力を育成する」ことが謳うたわれています。「見方」「考え方」とは,それぞれ「事象を数学の視点から捉えること」,「そこから論理的に考え,解決を振り返り,知識や技能の統合・発展を図ること」とされ,見方・考え方がより分析的に捉えられています。また,数学的活動として「事象を数理的に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決する過程を遂行すること」が示され,特に,得られた結果を日常の事象に戻して事象の理解を深めたり,新たな数学の事象に適用して,知識・技能の統合・発展を目指したりすることが重視されています。単なる活動ではなく,「見方・考え方を働かせた上での活動」にして,獲得する知識や技能の質を高めつつ,事象との結びつきを確かにして,生きて働く力にすることが目指されていると移動を通して図形の見方・考え方を深める活動●岡山大学教授 岡崎 正和2 万華鏡の問題 1 数学的な見方・考え方と数学的活動▲平成29 年度 全国学力・学習状況調査 中学校数学B問題 1A CDBE FG正答率14.8%正答率53.2%正答率68.0%14   算数・数学情報誌 ROOT No.21