ブックタイトルROOT No.21
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ROOT No.21
1715章2 節 図形の移動問 1 右の図は,162ページで紹しょう介かいした麻の葉模様の一部で,正六角形ABCDEF の中に,18 個の合同な二等辺三角形を,すき間なくしきつめたものです。a を,1 回の移動でb ~ e に重ね合わせるには,それぞれどの移動をすればよいですか。問 1 の図について,くわしく調べてみましょう。 a を,1 回の平行移動で移せる場所に「平」,1 回の回転移動で移せる場所に「回」,1 回の対称移動で移せる場所に「対」の字を,それぞれかき入れましょう。 1 回の移動で移せない場所はありますか。やってみよう510cadebAODC EB F移動の方法は1通りとは限らないよ。aAGHI JKLODC EB FafAODC EB F右の図で,四角形FABOを四角形FODEへ移動させると,アをカに重ね合わせることができるよ。どのように移動させればよいかな。 日本文教出版の教科書『中学数学1』では,「麻の葉模様の陣取りゲーム」を扱うことができます。最初に決めた陣から平行移動,対称移動,回転移動で,残りの陣を取り合うゲームです。ここでは単に陣を取り合うのでなく,平行移動では移動の向き,対称移動では対称の軸,回転移動では回転の中心,向き,回転角度を明らかにし,移動を数学的に表現する力を養うことができます。3 麻の葉模様の陣取りゲーム その際,同じ麻の葉模様が描かれた透明シートを用意し,作業用紙の麻の葉模様の上に載せて,回転の中心を指で押さえて,透明シートが実際にターゲットの二等辺三角形に重なるかどうかをチェックすると効果的です。特に,対応する辺だけに着目させ,辺がどのように動いて重なるか,あるいは対応する点だけに着目させて,点がどう動いて重なるかを観察させ,記号を使って表現させます。 また,上の?の二等辺三角形を?の位置に移動させる発展的な見方も養えます。?を含む四角形ABOF を,点F を中心に反時計回りに60°回転移動させると,?が?に移動可能であることが説明できます。二等辺三角形だけでなく,それを含むひし形を基本図形として捉え直し,その視点から麻の葉模様の構成の仕方や移動のさせ方を読み解き,図形の見方・考え方を深めていきます。 楽しみながらも,中学2 年で始まる証明活動の素地として,生徒が図形の見方・考え方を深め,説明する力を向上させていきたいものです。▲エで考えた場合▲日本文教出版『中学数学1』P.171 (3)は,模様を分解して,模様を構成する基本図形を見いだす問題です。ここでは模様を三角形に分解するだけでなく,「もしそれが基本図形であるなら,そこから模様全体が再構成できるか」ということまで考える必要があります。実際,エの図形を選ぶと,周りの3つの三角形の内の2つは対称移動できますが,残りの1つが対称移動できません。従って,分解と構成を同時に働かせる力が必要となってきます。 (2)は正答率が14.8% と大変低い結果でした。対応する四角形の移動を,回転の中心,向き,角度の点から数学的に表現する問題です。角度を示さない解答や角度を間違える解答が多かったようです。回転角を明らかにするには,四角形全体でなく,対応する辺に着目し,その辺同士で作られる角度を調べる必要があります。また,こうした活動の前提として,対応する点や辺を,記号同士の対応関係として明らかにしておく必要があります。従って,記号を振ること自体を重要な活動の一つと位置づけて,図形間の移動(対応)をその要素間の移動(対応)として捉え直し,言葉で表現する活動が重要となってきます。●参考・引用文献 文部科学省・国立教育政策研究所(2017)『. 平成29 年度全 国学力・学習状況調査:中学校数学』. http://www.nier.go.jp/17chousakekkahoukoku/ factsheet/data/17m_305.xlsx算数・数学情報誌 ROOT No.21 15