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概要

ROOT No.21

プ的思考のすすめログラミング●青山学院大学 客員研究員竹中 章勝 プログラミングを行うためのプログラミング言語環境は非常に多くの種類があり,コマンドなどの表現方法に着目すると「テキスト型言語」と「ビジュアル型プログラミング言語」に大別できます。前者は,処理の内容や手順を文字で記述していくもので,記述を1文字でも間違えるとエラーとなって正しく動きません。一方,後者は,文法エラーが起こりにくいタイル型のコマンドを組み合わせてプログラムできるようになっています。初学者や子どもがプログラミングを学ぶことに適した環境になっており,例えば,Viscuit[1],Scratch[2],Pyonkee[3]などはしばしば子ども向けのセミナーなどで利用されています。 ここではScratch を使って正多角形を描画する方法を紹介します。 Scratch では「スプライト」と呼ばれるキャラクタの移動した軌跡を描画することで図形を描くことができます。          の2 種類のタイルを右のように8 個つなげれば正方形を描画できます。このように手順をつなげる構造を「順次」と呼びます。さらに,                の3 個のコマンドで正方形が描画できます。この構造を「繰り返し」と呼びます。プログラミングには構成要素として「順次」「繰り返し」「条件分岐」の3 つがありますが,この正多角形の題材でそのうちの2つを学ぶことができるのです。 次に「正三角形を描画するにはどのようにプログラムすればよいでしょうか?」と発問すると,「正方形が90 度だったから正三角形は60 度かな?」などと仮説を立てる児童が多くいます。実際に      と角度を設定してプログラムをかいて実行すると「あれ! なんで?」と声が上がるでしょう。既習内容から「正三角形の1つの角の大きさは60 度」という知識があるので,そのまま回す角度のコマンドを60 度で設定しますが,コンピュータは思わぬ図形を描画してしまいます。 ここで,なぜ正三角形が描けないのか思考を促し,時にはグループで相談を促し対話的な学びとするのも良いでしょう。図をかいたり,実際に自分がキャラクタになったつもりで動いてみたりして,おおよそ何度くらい動けば,正三角形が描けるか考えてみてもよいでしょう。結果として進行方向の直線(180 度)から1 つの角度(60 度)をひいた120 度を回転角度と設定すると正三角形が描画できることを発見します。 同様に正六角形や正八角形などの描画に挑戦していくことで正多角形の「角度のきまり」を自分たちで発見するでしょう。  前回の記事では,次期指導要領の算数科5 学年B 図形の学習の中で例示された「正多角形の作図」を題材にコンピュータを用いた学習活動を取り扱う意図や観点について整理してみました。 今回は具体的なプログラミングの方法や,授業での進め方について考えてみます。プログラミング環境正多角形を描画するプログラムと授業展開小学校算数科でのプログラミング教育の展開をどう具体化するか[1] Viscuit http://www.viscuit.com/[2] Scratch http://scratch.mit.edu/[3] Pyonkee http://www.softumeya.com/pyonkee/ja/16   算数・数学情報誌 ROOT No.21