ブックタイトルROOT No.21
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ROOT No.21
くり上がりがあれば,次の位の上に1 をかくまだ計算していない位にうつるその位の計算をするくり返しくり返し 筆算の学習は2 年の加法・減法から始まり,3 年の乗法,4 年の除法と続いていきます。 さて,子どもたちが十分に筆算をできるように2 年~:カードを使って筆算のしかたを考えよう 従来の5 学年B 図形の学習では,コンパスでかいた円周上に分度器とコンパスで直線をひくことで正多角形を描画していき,円周率の学びにつなげていきます。この手順どおりにプログラムを記述してみると上の図のようになります。 前述のプログラムではわずか3 つのコマンドで描くことができた正多角形ですが,人がかく手順を表すと膨大な手順で描いていることがわかります。この手順の違いをどう考えればよいでしょうか? ここで指導要領に立ち戻ってみると,総則第3の1 に「各教科の特質に応じた物事を捉える視点や考え方(以下「見方・考え方」という)」とあり「各教科の見方・考え方」を元に目標がたてられています。従来の円周上の点を結ぶ算数での学習展開は「数学的な見方・考え方」によって捉え,一方,プログラミングによってコンピュータの特性に応じシンプルな手順で描画する展開は「情報的な見方・考え方」,あるいは「プログラミング的思考」や「コンピュータ的思考」として捉えることが大切です。そして,仮説として考えた角度をプログラムですばやく修正・描画(シミュレーション)し,思考過程を整理しながら良質の試行錯誤をすることで正解に辿り着くことができます。 このように,「数学的な見方・考え方」と「情報的な見方・考え方」の双方で補完し合うことで,「主体的・対話的で深い学び」が生まれ単元内容が深まる学びが実現できるのではないでしょうか。なったとき,次のように問うと子どもたちからはどのような反応が返ってくるでしょうか。 「たし算の筆算のしかたを説明してください。」 この発問への返答は実は大人でも容易ではありません。子どもたちは(大人も)「38+24」といった具体的な計算を提示して説明しようとするでしょう。しかし,筆算のしかたはその一例によって決めてよいのでしょうか? やはり「どんな数でもできる筆算のしかた」を説明させたくなります。しかし,大人でも言語化するのが困難な筆算のしかたですから,ここはカードを使うことによってハードルをさげて考えていきましょう。 上の図のような,筆算の手順を示した3 枚のカードと,2 枚の「くり返し」を用意します。「くり返し」は上の図のようにひもでつながっているとよいでしょう。 さて,3 枚程度であれば,子どもたちはまずカードを並べて筆算のしかたをうまく表現できるかと思います。検証してみましょう。 実はこのカードには「仕込み」があって,くり上がりのない「324+463」の計算ならうまくいくのですが,くり上がりのある「38+24」ではうまくいきません。「まだ計算していない位」とは,計算していなければどの位でもよいのでしょうか。そうではありません。加法の筆算は「もっとも小さい位」から計算を始め,順々に大きい位にうつりました。でも,なぜそうするのでしょう? 「くり上がりがあれば,次の位の上に1をかく」という処理があるためです。ですので,この処理は「まだ計算していない,一番小さい位にうつる」にしなければなりません。 このように手順をとらえ,不足があれば補足し,処理が必要または不要である理由を改めて説明することで,筆算のしかたやアルゴリズムへの理解が深まっていくことと思います。いずれはカードの内容を短くし,処理を小分けにしていく,という学習もしてみたいものですね。算数単元との整合性算数・数学情報誌 ROOT No.21 17