ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

ROOT No.22

 各教科の学習指導において,基礎的・基本的な学習内容の定着は必要不可欠です。算数科においてももちろん同様ですが,そもそも「算数科における基礎的・基本的な学習内容」とは,どのような学習内容を指すのでしょうか? その捉え方は多様であって当然ですが,ここでは,全国学力・学習状況調査A 問題(主として「知識」に関する問題)を基に考えてみましょう。 国立教育政策研究所作成の報告書によると,A 問題の特徴は以下のように述べられています。 具体的な全国学力・学習状況調査のA 問題には,これまで毎年,右のような四則計算の問題が出題されていました。この問題の(1) と(2) の正答率は80%前後であり,相当数の児童ができています。一方,(3) と(4) の正答率は70% に満たないものであり,やや課題があるといえます。このように,四則計算の中にも課題がある問題が存在しています。ところが,平成30 年度のA 問題には四則計算は出題されていません。 もちろん,小学校算数科において四則計算ができることは必要不可欠な技能です。しかし,全国学力・学習状況調査のA 問題を選定するにあたり,四則計算以上に他の基礎的・基本的な学習内容の定着が求められているようになったといえるのではないでしょうか。 では,平成30 年度A問題として,どのような問題が出題されているのでしょうか。計算の意味を問題場面と関連付けて考える問題に着目しましょう。 ここでは,A2の問題に注目します。これは,「答えが与えられた式で求められる問題場面を選ぶ」というもので,「計算の意味の理解」を調査する問題として出題されました。これと同様に「答えが与えられた式で求められる問題場面を選ぶ」問題は,平成19 年度と平成26 年度のA 問題で出題されています。平成19 年度は「210 × 0.6」の式で求められる問題場面を選ぶもの(正答率54.3%),平成26 年度は「100 - 20 × 4」の式で求められる問題場面を選ぶもの(正答率81.2%),平成30 年度は「12 ÷ 0.8」の式で求められる問題場面を選ぶものです。なお平成30 年度の問題には,これまでの問題と違う特徴があります。これまでの2つの問題では選択肢の中から1つだけを選ぶ問題で●兵庫教育大学 准教授 加藤 久恵2 計算の意味を問題場面と関連付ける活動1 算数科における基礎的・基本的な学習内容 身に付けておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や,実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など▲平成29 年度全国学力・学習状況調査 小学校算数A問題2計算の意味の理解を深める活動正答率(1)85.3%(2)79.9%(3)66.8%(4)69.4%2 12352 10.34 60.52 59小算A-36   算数・数学情報誌 ROOT No.22