ブックタイトルROOT No.23
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ROOT No.23
AB0 0.4 1 割合の学習に困難を感じる子どもが多いという現状は,今に限らず古くから存在する非常に根の深い問題だと思います。割合は,実際には小学校の学習内容ですので,その問題の解決に当たっては,小学校での学習を工夫したり,見直したりすることが一番重要であることは疑いようのない事実です。しかし,だからといって中学校では何もしなくてよいということにはならないでしょうし,割合の理解に課題がある生徒に対しては,いつかどこかで割合の意味や見方をきちんと指導してあげる必要があるでしょう。平成30 年度全国学力・学習状況調査数学B 5(1)(以降,H30B 5(1)と略記)では,割合を求めるための式をつくる問題(図1)が出題されましたが,その正答率は16.9%でした。中学校3 年生であっても,依然として割合の理解に課題があることが分かります。 では,割合の意味や見方とは一体どのようなものでしょうか。割合の定義にもいろいろな定義の仕方がありますが,その本質は「基準を1とみる見方」であると考えます。例えば,「B はA の0.4 の割合」といった場合,その意味は,「A の大きさを基準とし,それを1とみたとき,B の大きさは0.4にあたる」ということになります(図3)。つまり,割合の見方とは,基準となるものに着目したり,その基準となる数量を数の1 に対応付けて(百分率の場合は,100 に対応付けて),比較する数量を表したりすることであると言えるでしょう。 割合指導の充実に当たって,一番大切にしたいことは,割合の意味や見方だと思います。もちろ割合の意味や見方をもとにして,割合の求め方を考える活動●福岡教育大学准教授 岩田 耕司3 割合の意味や見方とは2 「求め方」と「意味」の違い1 割合は小学校だけの問題か▲図3:「B はA の0.4 の割合」の図表現▲図2:「く・も・わ」の図式▲図1:H30B 5(1)の調査問題ん,割合の求め方である「比較量÷基準量」(百分率の場合は,「比較量÷基準量×100」)という式も大切ですが,その式はあくまで「求め方」であって,必ずしも「意味」や「見方」を伴っているとは限りません。有名な「く・も・わ」などの図式(図2)も,その図式によって「求め方」は覚えられるかもしれませんが,なぜそのような式になるのかという理由まで教えてくれるものではありません。かつてSkemp(1976)は,公式が成り立つ理由や意味を理解しないままに,単に道具として公式を用いている理解の状態を「道具的理解」と呼び,理由や意味を理解した上で公式を用いることができる理解の状態(関係的理解)とは区別しました。算数や数学教育に古くからある問題は,大抵,この理解の区分が関係しているように思います。くもわ8 算数・数学情報誌 ROOT No.23