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概要

ROOT No.23

 「オイラーが偉大な数学者であることはなんとなくわかったけど,中学までの数学でオイラーのお世話になっているのは,πくらいじゃないの?」――そんな声が聞こえてきそうです。ところが,そうでもないのです。 現在,小学2 年の算数で,「はこ(直方体や立方体)」を使って,頂点,辺,面がいくつあるかという学習をしています。今でこそこのような学習は普通ですが,そうではない時代があったのです。頂点と辺と面の美しい関係かという問題です(上のイラスト参照)。オイラーはこの問題の解決のために,土地と橋の相対的なつながりに着目し,それを頂点と線で表現しました。これが,現在の「グラフ理論」という数学の分野の始まりと考えられています。多面体において,0 次元の「点」,1 次元の「線」,2 次元の「面」という3 種類の構成要素に最初に着目して研究したのがオイラーだと言ってよいでしょう。そもそも,私たちが「(多面体の)辺」と呼ぶ線に名前を与えたのがオイラーでした。 そんな彼なら,次の関係はすぐに見つけられたのだろうと想像します。   v + f - e = 2 「(穴の開いていない)多面体において,頂点の数v と面の数f の和から辺の数e を引くと2 になる」――証明はさておき,言っている内容は小学2 年生でも理解できそうです。この関係は,「オイラーの多面体定理(公式)」と呼ばれています。 これは,先に紹介した数学雑誌アンケートで,「二番目に美しい定理」に選ばれています。この結果には,私も,いや,お?い?ら?も全面的に賛成です。参考文献『 世界で二番目に美しい数式(上・下)』,デビット・S.リッチソン,根上生也[訳](岩波書店,2014年)ほか算数・数学情報誌 ROOT No.23 17