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概要

ROOT No.23

 急速に情報化が進展する社会の中で,物事を多角的・多面的に吟味し定めていく力(クリティカル・シンキング)や統計的な分析に基づき判断する力を各学校段階を通じて体系的に育んでいくことが強く求められています。こうした背景から,新学●参考・引用文献 文部科学省(. 2015)「. 教育課程企画特別部会論点整理」(平 成27年8月26日) 文部科学省国立教育政策研究所(. 2018).『 平成30年度全国 学力・学習状況調査報告書(小学校算数) http://www.nier.go.jp/18chousakekkahoukoku/report/   data/18pmath.pdf.3 授業改善のためのヒントそれぞれのめあてに取り組んでいる活動を評価するというアンケート調査の目的から,重要な関係に気づけているように思われます。しかし,その数学的な根拠となるグラフと関連づける表現が足りないのです。 3(2)は,児童の解答類型をみると,?に3,?に4 としているものが最も多く,52.2% です。多くの児童がグラフ1との関係を考慮せずに,5・6年生の立場からグラフ2 を解釈していることになります。グラフ2 の解釈としては正しいのですが,グラフ1と矛盾していることを見落としています。また,棒グラフと帯グラフという2 つのグラフを関連づけて読み取ること,すなわち,複数のグラフの間の関係が問題となっています。このような問題は,児童にとって,1 つのグラフを読み取る問題よりも格段に難しいということです。▲平成30 年度全国学力・学習状況調査 小学校算数B 問題3(2)習指導要領に,新しい領域として「データの活用」が導入されました。 普段の授業で,子どもの気づきや主張が,その根拠となるグラフ等で示されたデータのどこに着目したものなのかを積極的に問題にすることが大切です。そのためには,単にグラフの数値を読み取るだけではなく,メモ2 のグラフの数値間の差のように,グラフから直接読み取ることが難しい数値間の関係や,着目したことが異なることによる結論の違いを話題として取りあげ,子ども同士の対話を通して明らかにしていくことも有効です。また,あるグラフから読み取った情報が適切かどうかを批判的に検討したり,特に複数のグラフがあれば,それぞれのグラフから読み取ることができる情報を関連づけながら考えたりする活動,すなわち,グラフ間の関係を読み取る活動へと授業の焦点を発展させていくことも大切です。正答率24.0%算数・数学情報誌 ROOT No.23 7