ブックタイトルRooT No.24 2020年度版「小学算数」教科書特集号

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RooT No.24 2020年度版「小学算数」教科書特集号

新設「データの活用」領域に迫る!ちなみにメモ「平均値,最頻値,中央値」を教科書では以下のように説明しています。● 平均(値)…いくつかの数量を等しい大きさ   になるようにならしたもの(5年下p .8)● 最頻値…データの中で最も多く出てくる値の こと(6年p .179)● 中央値…データの個々の値を小さい順に ならべたとき,中央にくる値のこと(6年p.179)「データの活用」領域のポイントまとめ表現のしかたやデータの取り方,問いの立て方などを見直しながら,統計的な問題解決の方法(PPDAC)のサイクルを回す。平均値,中央値,最頻値のそれぞれの特長や限界を理解した上で,適切な代表値を選べるようにする。グラフの見た目だけでなく,グラフの縦軸(1目盛りの大きさ)にも着目し,読みとれるようにする。2135205155105051998年年間の盗難事件数1999年国立教育政策研究編『生きるための知識と技能2』ぎょうせい,2004 年,p.1196年p.1786年p.179?? 中学校の「データの活用」領域へスムーズにつなげるために気をつけることはありますか? 3つの代表値(集団の傾向を表す一つの数値)の「平均値,最頻値,中央値」は,しっかり指導していただきたいと思います。特に,「平均値では,集団の傾向を適切に示せない場合がある」ということを理解することが大切です。 例えば,6年p.178 ?179では「学校訪問に来る人たちの年れい」の題材(右上参照)を取り上げています。「学校訪問に来る人の年齢の平均は11.5才」と聞いて,「6年生が来る」と思っていたら,「あれ? 1年生より小さい子どもたちが来たぞ」という題材です。この題材の仕組みは,31才と56才の大人2人と,4才や5才の子どもが9人いるから,平均値は11.5才になってしまうというものです。つまり,11.5という平均値はこの?? 「データの活用」領域の指導で大切なポイントは何ですか? 縦軸の目盛りの幅がどのようにとられているかに着目してグラフを読む力がとても大切で,非常に大きいリテラシーです。ぜひ,小学校のうちに身につけてほしいと思います。 さきほど話したPISA調査で,「年間の盗難事件数」(下参照)の棒グラフの問題が出題されたことがあります。この棒グラフは,一部しか見せないことで実際にはそれほど増えてない事件数が,倍増したかのように見えるんですね。つまり,グラフの見た目に騙されないようにしないといけないという問題なんです。?? 新版教科書では,グラフの読みとりをどのように扱っているのですか? 例えば,4年上のp.45のグラフ(右上参照)を見てください。左側のグラフはあまり変化がなく,右側のグラフは変化が大きいですね。ですが,実はこれらは同じデータを表しています。同じデータでも縦軸の目盛りのとり方によって,グラフの見え方がちがうということですね。 教科書では,右側のグラフの方が体温の変わり方がわかりやすいわけを話し合い,同じデータでは1目盛りの大きさが小さければ,傾きが急になるといったことを学ぶようになっています。新版教科書は,こうした数学的な見方・考え方を意識して作られていると思います。集団を示す代表値としてふさわしくないことがわかると思います。  また,この問題の場合は,最頻値の4才を集団の特徴を表す数値とすれば,少なくとも11.5才よりは「小さい子どもが来る」というイメージが持てるのではないでしょうか。あるいは,中央値であれば年齢の幅が大きくても5才に落ち着くということがわかると思います。 もちろん,平均は5年で学習する内容ですし,平均値を用いた方がよい場合もあります。それぞれの代表値の限界を伝えた上で,子どもたちには,「平均値だけではなく,中央値も最頻値もあるけれど,どれを使うのが適切だろう?」と思いを馳せられるようになってほしいですね。?? 先生方にどのような学習を展開していただきたいと思いますか? 答えが「あっている」「間違っている」ということだけでなく,子どもたちが自分で考え,それを自分なりに表現することを大切にしてほしいと思います。正解だけを求めてしまうと,正解者しか活躍できない授業になってしまいます。そうではなくて,まずはその子なりに考え,その子なりに表現し,互いの考えを認め合い,みんなで不十分なところは補い合い,間違っているところは直していくというような,学び合いのある学習を展開していただきたいですね。 教科書には複数の考え方が出ていると思います。ですが,それを順番に押さえていくのではなく,子どもたちの考えを軸にしながら,授業をしてほしいと思います。それぞれの代表値のよさと限界を知った上で,使う代表値を選べるようになってほしいです。縦軸の目盛りの大きさに着目してグラフを読みとる力がとても大切です。みんなで作っていく算数の学習にしていただきたいと思っています。4年上p.4512   算数・数学情報誌 ROOT No.24 算数・数学情報誌 ROOT No.24 13