ブックタイトルRooT No.24 2020年度版「小学算数」教科書特集号

概要

RooT No.24 2020年度版「小学算数」教科書特集号

3年上p.20,22,235年下p.76座談会新学習指導要領のポイント● 目標が「知識及び技能」，「思考力，判断力，表現力等」，「学びに向かう力，人間性等」の3つの柱で整理された。● これまでの学習で身につけた「数学的な見方・考え方」を総動員させて，新しい学習に取り組むことが大切。Z A D A N K A I授業は，教科書は，どう変わる？学習指導要領の改訂で新学習指導要領の全面実施まで1 年を切り，授業づくりに不安を感じている先生はいらっしゃいませんか？　今回は，2020 年度版『小学算数』をご監修いただいた先生方をお招きし，「新学習指導要領のポイントや授業づくりのヒント，日文の教科書の魅力」について語っていただきました。福岡教育大学教授飯田 慎司先生文京学院大学特任教授鈴木 みどり先生愛知教育大学教授山田 篤史先生兵庫教育大学大学院准教授加藤 久恵先生答えを出して終わりではなく，子どもたちが考え方を伝え合うことが大切です。応用的・発展的な問題は単に難しいのではなく，少しずつ深い学習につながるようにくふうしています。これまでの知識や考え方を総動員させて，次の学習へつなげましょう。教科書の吹き出しには，発問や問題解決につながるような発言が書かれています。新学習指導要領のポイント?? 今回の改訂で，学習指導要領は何がどう変わったのですか？飯田　新学習指導要領から，育成を目指す資質・能力が「知識及び技能」，「思考力，判断力，表現力等」，「学びに向かう力，人間性等」の3つに整理されました。算数科の総括目標や各学年の目標も，この3つの柱に沿った形で示されていますね。さらに，個々の学習内容も「知識及び技能」と「思考力，判断力，表現力等」を踏まえて記載されており，大きく変わったところだと思います。また，目標に関していうと，「数学的な見方・考え方を働かせ」という文言も新しく入りました。学習に取り組んでいくことが求められていると思います。?? 「数学的な見方・考え方」とは具体的にどのようなイメージなのでしょうか？飯田　例えば，5年生の「図形の面積」のページ（5下p.76 ／次頁左上参照）を見てください。この単元では，既習の正方形や長方形，Ｌ字型の面積の学習をふり返ってから，平行四辺形や三角形，台形などの面積の学習へ入るようになっています。先生方の中には，「これまでの面積の学習で，子どもたちが身につけていることは？」と聞かれると，面積公式を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。ですが，子どもたちは図形のどこに着目して，どんな考え方で面積公式を作り出したのかという「数学的な見方・考え方」も一緒に身につけているのです。既習の知識・技能だけでなく，その知識・技能を生み出した考え方も総動員させて，新しい「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて?? 「主体的・対話的で深い学び」を実現するヒントを教えてください。鈴木　子どもたちが自立的・協働的に学習し主体的に取り組めるよう意識したり，言語活動を充実させたりすることが求められていますね。新版教科書の「自分で　みんなで」（下参照）では，これらを意識した問題解決過程が見えるようになっています。飯田　①どんな問題かな，②考えよう，③学び合おう，④ふり返ろう，という4段階の過程ですね。鈴木　それから，数学的な思考力・表現力を育成する際のポイントとなる，「学び合い」を重視した紙面構成にもなっています。答えを出して終わりではなく，「どのようにして答えを求めたのか発表する」，「友だちはどのように考えたのか聞く」，「図を付けたしてみる」，「新たな考え方と比較する」というような学習過程を大切にしました。加藤　折り込みのページには書き込めるスペースもありますし，子どもたちが主体的に取り組む姿が連想できていいですね。鈴木　現場には若い先生が増えています。算数の苦手な先生が指導されても，子どもたちの資質・能力が育つようにくふうすることも，教科書の大切な役割だと思っています。2 　 算数・数学情報誌 ROOT No.24 算数・数学情報誌 ROOT No.24 3