ブックタイトルRooT No.25
- ページ
- 10/20
このページは RooT No.25 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは RooT No.25 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
RooT No.25
0 1 2 3 45 6 7 8 90 1 2 3 45 6 7 8 95 824 716 93 1+2+3+4+5+6+7+8+9=( 5-4)+(5-3)+(5-2)+(5-1)+5+(5+1) +(5+2)+(5+3)+(5+4)=( 5-4+4)+(5-3+3)+(5-2+2)+(5-1+1) +5+5+5+5+5= 5×9= 45( 3 ) 8 4 11 5 22 6 9+ ) 9 5 82 02 02 02 2 2 0 1 + 2 + 9 + 84 + 5 + 6 + 58 + 1 + 2 + 95 824 716 935 824 716 935 824 716 93(1) (2) (3)1 2 3 4 5 6 7 8 9-4 -3 -2 -1 +1 +2 +3 +4条件を変えながら統合的・発展的に考察する活動●兵庫教育大学准教授 川内 充延 平成31 年度(令和元年度)の「全国学力・学習状況調査 中学校数学」の中に,連続する奇数の和に関する問題があります。その問題のリード部分には,まず連続する3つの奇数の和について,具体的な計算の例から「予想1:連続する3つの奇数の和は,中央の奇数の3倍になる」が示されています。そして,予想1がいつでも成り立つことの,文字式を用いた説明が添えられています。これらを受け,3つの設問へとつながります。 設問(1)では,連続する3つの奇数の和について与えられた説明を振り返って考え,式変形の目的を捉えることができるかどうかをみています(正答率58.3%)。設問(2)では,連続する5つの奇数の和について,具体的な計算の例から「予想2:連続する5つの奇数の和は,中央の奇数の5倍になる」が示され,予想2がいつでも成り立つ理由を説明することができるかどうかをみています(正答率60.3%)。設問(3)は,連続する4つの奇数の和がどんな数になるか,設問(1)や(2)と同様に考えられないかと,二人の生徒の対話をもって投げかける形となっています。ここでは,統合的・ 一般的な電卓の数字キー(1?9)は,右図のように配列されています。この数字キーの配列を利用して,次のような計算式をつくります。 それぞれの計算式は数字キーを下図のように押しており,ループさせています。 いずれの計算式も結果は2220 となります。同様の計算式は他にもつくることができ,これを課題とすると,児童生徒からの多様な応答が期待できます。また,例えば( 3)の計算式を筆算の形にすると,各位の数の和がどれも20 で,計算結果が2220 になることがわかります。 このとき,{ 1 , 2 , 8 , 9 }や{ 4 , 5 , 5 , 6 }は連続していない4つの整数となりますが,基準の数5に基づいた数の組と見ることができ,その和を求める際には5 ×4 = 20 という計算式が考えられます。ここにも,統合的・発展的に考察していく上での1つの要素がうかがえます。 前述の連続する奇数の和について,対象にする数を奇数から整数に拡張し,個数をより多くしてみます。例えば「連続する9個の整数の和はどんな数になるか」という課題が考えられます。発展的に考察し,得られた数学的な結果(拓斗さんの計算)を事象に即して解釈することができるかどうかをみています(正答率70.2%)。 この問題は,連続する奇数の個数が3つなら,その和は中央の奇数の3倍となり,5つなら,その和は中央の奇数の5倍となります。また4つなら,中央の奇数はないが中央に相当する偶数があるので,中央の数? と表現することで同様となります。したがって,連続する奇数の和についての学習場面を想定すると,個数という条件を変えることによって,その個数が3つであれ,4つであれ,5つであれ,連続する奇数の和は( 中央の数)×(連続する奇数の個数)としてまとめられます。この過程が統合的・発展的に考察することになります。2 中央の数を基準と見ると1 統合的・発展的に考察する学習場面3 連続していなくても●参考・引用文献・文部科学省・国立教育政策研究所(2019).『平成31年度 (令和元年度)全国学力・学習状況調査報告書:中学校数学』・ 数学教育協議会,小沢健一(1995).『電卓なるほど活用術』, 国土社.▲平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査 中学校数学9(3)(3)二人は,連続する4つの奇数の和がどんな数になるかを話し合っています。若菜さん「連続する3つの奇数や5つの奇数には中央の奇数があるけれど,連続する4つの奇数には中央の奇数がないね。」拓斗さん「でも,連続する4つの奇数の和は何らかの数の4倍になるのではないかな。」そこで,拓斗さんは,n を整数として,連続する4つの奇数を,2n+1,2n+3,2n+5,2n+7と表し,それらの和を次のように計算しました。拓斗さんの計算(2n +1)+(2n +3)+(2n +5)+(2n +7)=2n +1+2n +3+2n +5+2n +7=8n +16=4(2n +4)上の拓斗さんの計算から,連続する4つの奇数の和は2n+4の4倍になることがわかります。2n+4はどんな数ですか。正しいものを,下のアからオまでの中から1つ選びなさい。ア 連続する4つの奇数のうち小さい方から2番目の奇数イ 連続する4つの奇数のうち小さい方から3番目の奇数ウ 連続する4つの奇数のうち小さい方から1番目の奇数と2番中数?21若菜さん「連続する3つの奇数や5つの奇数には中央の奇数があるけれど,連続する4つの奇数には中央の奇数がないね。」拓斗さん「でも,連続する4つの奇数の和は何らかの数の4倍になるのではないかな。」そこで,拓斗さんは,n を整数として,連続する4つの奇数を,2n+1,2n+3,2n+5,2n+7と表し,それらの和を次のように計算しました。拓斗さんの計算(2n +1)+(2n +3)+(2n +5)+(2n +7)=2n +1+2n +3+2n +5+2n +7=8n +16=4(2n +4)上の拓斗さんの計算から,連続する4つの奇数の和は2n+4の4倍になることがわかります。2n+4はどんな数ですか。正しいものを,下のアからオまでの中から1つ選びなさい。ア 連続する4つの奇数のうち小さい方から2番目の奇数イ 連続する4つの奇数のうち小さい方から3番目の奇数ウ 連続する4つの奇数のうち小さい方から1番目の奇数と2番目の奇数の間にある偶ぐう数すうエ 連続する4つの奇数のうち小さい方から2番目の奇数と3番目の奇数の間にある偶数オ 連続する4つの奇数のうち小さい方から3番目の奇数と4番目の奇数の間にある偶数 このときも,連続する9個の整数の和が(中央の数)×(連続する整数の個数)で求められ(①…5 × 9 = 45,②…78 × 9 = 702,③…240 × 9 =2160),いつでも成り立つ理由も文字式を用いて説明することができます。連続する奇数の和に引き続き,このように学習場面を展開すると,さらに統合的・発展的に考察することになります。 ところで,連続する整数が9個も並ぶと,中央の数5を基準とした,次のような見方が思い浮かぶことはないでしょうか。 これを式で表現すると,次のようになります。 また,連続する9個の整数を線分の長さとして表し,この見方(計算)を図的に表現すると,次のようになります。 このような見方に従うと,連続する整数の和は(基準の数)×(連続する整数の個数)と解釈することができ,先の連続する奇数の和も同様に捉えられます。中央の数に基準という意味合いが付加され,統合的・発展的に考察していく上での1つの要素がうかがえます。1+2+3+4+5+6+7+8+9 …①74+75+76+77+78+79+80+81+82 …②236+237+238+239+240+241+242+243+244 …③(1) 123+369+987+741(2) 963+357+741+159(3) 841+152+269+9588 算数・数学情報誌 ROOT No.25 算数・数学情報誌 ROOT No.25 9