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概要

RooT No.25

通常●断面図押し切り 低学年の子どもの場合,はさみを使えない理由がまず「開閉」で,ハンドルに指を入れた状態で「閉じる」ことはできるのですが「開く」ことが苦手なようです。グーはできてもパーの動作は苦手なのです。なので,少し指が動くだけではさみの刃が大きく開くように支点を手元に近づけました。また,人差し指が動いてグラグラしないように,ハンドルに突起をつけています。 一方で,工作用のはさみについては「てこの原理」を使って小さな力でも硬い紙が切れるように力点を支点から遠くしているものもあります。 支点から作用点の距離が遠いほど力を加える必要があることが学べるような目印の穴も開けていて,竹ひご切りにも役立ちます。 教科書の上にもグラフや図形,筆算の線など定規で線を引くことがあると伺い,10cm という短い定規もつくりました。 押し切り刃になっているはさみもあります。押し切り刃は刃の部分を鋭く斜めにせず,直角にしたものです。そのため,誤って指を入れてしまっても切れにくい,安全なつくりになっています。 鉛筆のキャップは以前のものは差し込みすぎたり踏んでしまうと割れることがありました。プラスチック製は割れると危険なので,ポリカーボネイトという非常に粘性の高い素材に変え,割れないようにしました。150kg の荷重が加わっても変形することはあっても割れることはありません。●はさみ● 10cm 定規 文具を通して見えてくることやわかることもあります。 以前は,色は黒や赤,紺などのものが主流でしたが,その後さまざまな色のものが作られ,数年前にはピンクが非常に人気の色になりました。それが最近ではピンクは人気がなくなり,淡いパープルやグリーンが人気です。色の好みに男女差もなくなりつつあり,男の子も女の子も同じ色に人気が集まるようになりました。 文具を通して,子どもたちに好まれる色の変化も見えてきますし,地域によるさまざま違いも見えてきます。 鉛筆は今は全国的に2B が主流なのですが,埼玉県では6B がよく使われています。また,理由はわかりませんが,防災ずきんは地域差が顕著に見て取れ,関西に比べて関東での常備率はかなり高いです。 このように,時代によっても地域によっても求められる文具は異なりますので,対応できるように商品サービスセンターを立ち上げています。また,定期的に子ども達への調査もし,日々,使用者が不便に感じることは無いか,それをどう解決するかを考え続けています。学童文具の世界▲左手用▲右手用 さまざまな面で安心・安全には配慮しています。 通常の油ねんどには鉱物系の油が使用されています。鉱物油ではたまに手荒れを起こす子どもがいるという話を聞き,植物系の米油を使った油ねんどを作りました。また原料の米油と炭酸カルシウムなど,原料はほとんど国産です。低学年など幼い子ども向けの製品ほど,保護者の方は安心・安全を意識されるようです。 このようにわかりやすいもの,使いやすいものということを意識し,勉強に役立つものになるように心掛けています。安心・安全なもの,とは 方位磁石には,首から下げられるようにストラップが付いているのですが,強く引っ張ったら外れるようにしています。このことは高く評価され,キッズデザイン賞をいただくことができました。 子どもはこちらの想定しないような使い方をしてしまうことがあるので,安全性には特に気をつけています。12   算数・数学情報誌 ROOT No.25 算数・数学情報誌 ROOT No.25 13