ブックタイトルRooT No.25
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RooT No.25
気象データを活用することで生まれる生産性の向上H e l l o ,Mathematics!算数や数学の授業では,気温などの気象に関するデータを扱うこともあります。気象庁では,気象データをよりビジネスに活用することで生産性を向上させることを目的に,平成29年3月に産学官の連携による「気象ビジネス推進コンソーシアム(以降,WXBC)」を立ち上げました。WXBC の活動について,事務局である気象庁の方からお話を伺ってきました。――WXBC とはどのようなものですか。 WXBC は,気象事業者,IT 企業,小売業,農業,水産業,金融業,建築業…など,さまざまな業種の方々を会員に持つ産学官連携の組織で,現在の会員数は648(2019 年7 月1 日現在)です。 平成27 年版『情報通信白書』(総務省)で,ど――WXBC の活動とは,どのようなものですか。 WXBC では,気象データを活用することで産業界を盛り上げ,生産性の向上へつなげようと,次の3つを軸に活動を進めています。 1つ目は「人材育成ワーキンググループ」です。 ビジネスの現場における気象データの有用性を知っていただき,どのような気象データがあり,どのようにデータを実際に使えるのかを学べるセミナーを開いています。気象データをExcel で統計的に処理したり,あるいは,AI を使用するなど,IoT 技術と気象データを組み合わせてデータを見るとどうなるか,といったことが体験できるセミナーになっています。気象データの活用で生産性を向上させることが目的です。人材育成や新規ビジネスの創出に取り組んでいます。――気象データには,どのような活用のされ方が ありますか。 例えば北海道稚わっかない内市の浜はま頓とん別べつ地域では,飼料用の牧草を生産しています。牧草は刈り取り前に濡れてしまうと売れなくなるのですが,この地域はよく霧が発生する場所でした。そこで霧の発生を予測し刈り取り時期を教えるサービスを開発しました。 三重県伊勢市にある創業100 年の老舗飲食店では,IT 業界に勤めていた社長が,気象データと来客データの情報を見える化し,プログラムを作り分析した結果,来客予測を可能にしました。廃棄漁業でも飲食店でも,あらゆる分野で気象データは有効に活用されています。WXBC気象ビジネス推進コンソーシアムのようなデータがどのぐらい活用されているのかが公開されました。顧客データや経理データを活用している企業の数に比べて,気象データを活用している企業の割合は少なく,全企業のおよそ1.3%しかないことがわかりました。 平成28 年3 月に,生産性を向上させることを目的に,国土交通省から「生産性革命プロジェクト」が立ち上がりました。それを機に,気象ビジネスの創出のためにWXBC が発足しました。 2つ目は「新規気象ビジネス創出ワーキンググループ」です。 WXBC 会員の連携をさらに活性化させ,新たな気象ビジネスが創出されることを目的にビジネスマッチングイベントを開催しています。企業が実際に商談できる場を提供しています。また,『気象データ利活用事例集』を作成し,具体的に気象データがビジネスに利活用されているさまざまな事例を紹介しています。 3つ目は「気象データアナリスト(仮称)の検討」です。 気象データとビジネスの潤滑油になる方が必要なので,その存在として気象データアナリストの育成を考えています。 気象データと企業データを併せて分析し,データの利活用に関する提言や助言を行うことができる気象データアナリストの育成の方法や,確保の仕組みについて,どのように進めていくのかを検討していく予定です。 WXBC には、最高機関の総会と,執行機関の運営委員会があり,事務局は気象庁となっています。●人材育成WG●新規気象ビジネス創出WG●気象データアナリスト(仮称)の検討2 算数・数学情報誌 ROOT No.25 算数・数学情報誌 ROOT No.25 3