ブックタイトルROOT No.26 『中学数学』教科書特集号
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ROOT No.26 『中学数学』教科書特集号
数学的な見方と考え方では,おそらく,考え方の方がまずはイメージしやすいと思います。誤解を恐れずにいえば,数学的な考え方は大きく三つに分類整理することができると思います。 一つ目は,目的に応じて数,式,図,表,グラフ等を活用して考えること,つまり,「数学的な表現を用いて考えること」です。ただし,この考え方は,数学では至極当然の考え方でもあるため,指導においては特に「目的に応じて」という点を大切にされるとよいと思います。例えば,文字を使うにしても,天下り的に文字を使うよう指示するのではなく,生徒から「分からない数をひとまず文字で表してみよう」とか「いつでも成り立つことを示すために文字で表してみよう」といった発言を引き出したいものです。このような場面が,生徒が数学的な考え方を働かせた場面であると捉えられるからです。指導に当たっては,問題解決の構想や見通しを立てる段階で「何を使えばよいかな」とか「何が使えそうかな」といった発問を大切にしたいものです。 二つ目は,「論理的に考えること」です。代表的な考え方としては,演繹的な考え方が挙げられますが,それだけではありません。いくつかの場合を調べて,それらに共通することから予想を立てる帰納的な考え方や,類似した場面で同じように考える類推的な考え方も論理的に考えることの一例です。それら全てに共通することは「~だから~と考える」といった,何かしらの根拠に基づく考え方です。数学の場合,その根拠は,数量や図形及びそれらの関係についての概念や原理・法則であることが望ましく,授業においては「なぜそのように考えたのか」を問うことで,数学的な根拠をもとに考えを進められる生徒を育てていきたいものです。 三つ目は,「統合的・発展的に考えること」です。先ほど,関数y=ax2 の学習で,比例に帰着して考えることが統合的な考え方の一例であると述べました。中学校で学習する関数は,全て比例でまとめることができますが,このような数学的な概念による統合だけではなく,統合的な考え方としては,表現どうしの関連付けや,処理の関連付けなど,「いろいろなものを関連付けていくこと」と捉えた方がよいで―「 数学的な見方」とは何でしょうか? 一方で,「数学的な見方」については,一つ一つの授業場面でより具体的に捉える必要があります。「数学的な見方」とは基本的に,「数に着目する」,「形に着目する」,「数量の関係に着目する」といった,数学的な視点に着目することなのですが,例えば「数に着目する」にしても,その場面にはいろいろな数があるわけで,どのような数に着目すればその事象の特徴や本質に迫れるのかは場面によって変わってきます。 例えば,前述の2 元1 次連立方程式を1 元1 次方程式に帰着して解く場面では,係数の絶対値に目をつける必要があるでしょうし,ある図形における角の相等を示す場面では,合同な図形や相似な図形,円周角などのその場面にある図形の中で適切な図形に着目する必要があるでしょう。逆にいえば,数学があまり得意でない生徒は,このような目の付け所を分かっていないのだと考えられます。それゆえ,授業においては,このような目の付け所をはっきりさせることが必要になります。 そのような目の付け所を生徒から引き出せるなら,それに越したことはありませんが,初めのうちは難しいでしょう。教科書では,そのような視点も〈大切な見方・考え方〉で与えるようにしています。― 授業では,どのようなことに取り組めばよいですか? 繰り返しになりますが,数学的な見方・考え方を働かせる生徒を育てるためには,やはり,働かせた数学的な見方・考え方を明らかにし,クラス全体で共有したり,見方・考え方を使っていることを意識させたり,繰り返し使うことでよさを感得させたりすることが必要になると思います。その意味で「振り返り」は重要です。どのようなことを学んだかという「内容からの振り返り」だけではなく,どのように学んだか,考えたかという「方法からの振り返り」を取り入れるとよいと思います。 教科書では,数学的な見方・考え方を,側注の に載せています。その内容を参考にして授業を進めたり,振り返りの場面で着目させたりしていただければと思います。 また, では,上段に「繰り返し使っていく見方・考え方」,下段に「その場面で使う具体的な見方・考え方」を示しています。上段の「見方・考え方」は何度も登場するので,最終的には生徒自身の判断で,必要に応じて働かせられるようになればよいと願っています。しょう。 例えば,関数の学習における表,式,グラフの関連付けは,その代表的な例ですし,2 元1 次連立方程式を1 元1 次方程式に帰着して解くことも統合的な考え方の一つの例にあたります。1401 年4 章 190314[ 表] [ 式] [ グラフ]x -11 1 1 1… 1 2 3y … -2 2 4 6……xy02 2 2 2y= 2 x01122比例定数Oxy2-2-4-6-2 O 2 4y=-2x次の表と右の図のグラフは,どちらも比例の関係y=-2xを表したものです。y=-2xについて,下の(1),(2)の順に調べましょう。(1) xの値あたいが1増加すると,yの値はどのように変化しますか。(2) グラフで右へ1めもり分進むと,上下のどちらの方向へ何めもり分進みますか。 比例のグラフについて,次のようにまとめることができます。問5次の図は,比例の関係y=2xの比例定数2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめたものです。これにならって,比例の関係y=-2xの比例定数-2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめてみましょう。問6比例の関係y=axのグラフは,原点と,点(1,a)を通る直線である。1 a>0のときは右上がり 2 a<0のときは右下がり比例のグラフ次の課題 対応するxとyの値が何組わかれば,比例の式を求められるかな。yxO 増加増加(1, a)(1, a)a1yxO増加減少a1WEBx … -1 0 1 2 3 …y … 2 0 -2 -4 -6 …考えよう深めよう関連づけてまとめる大切 な見方・考え方表,式,グラフを関連づける5510101515202525陸りくさんは,例1の説明をふり返って,「連続する3つの整数の和は,真ん中の数の3倍になる。」と考えました。陸さんの考えは正しいですか。その理由も答えましょう。連続する3つの整数のうち,真ん中の数をnとして,アがいつも成り立つことを説明しなさい。 見つけた数の性質を発展させて,新たな数の性質を見つけ,その性質がいつも成り立つことを説明しましょう。彩あやさんは,連続する5つの整数の和について,次のようにいっています。次の問いに答えましょう。(1) 彩さんが見つけた整数の性質を予想しましょう。(2) (1)で予想した性質がいつも成り立つことを, 文字を使って説明しましょう。問1問2問3連続する5つの整数の和は, になる。深めよう深めようふり返って考える大切 な見方・考え方新たな性質を見つける条件を変えて考える大切 な見方・考え方3 つ→ 5つ連続する10個の整数の和?p.19620251520151041連立方程式2章3xと-3xは,たせば0になるね。A =B+) C =DA +C =B +D連立方程式3x+2y=9-3x+5y=12を解きましょう。xの係数の絶対値が等しいから,xを消去します。連立方程式5x+3y=165x-3y=4を次の2通りの方法で解いて,解は同じになることを確かめましょう。(1) まずxを消去する。 (2) まずyを消去する。 連立方程式は,2つの2元1次方程式から1つの文字を消去して1元1次方程式を導けば解くことができます。次の連立方程式を解きなさい。(1)x-y=52x+y=1(2) 2x+3y=72x-y=3(3)4x+3y=132x+3y=8(4) 7x+3y=12-7x-y=-4(5)-x+4y=24-x-4y=-8(6) 3x+6y=-1-3x+6y=-7考え方解答例問3問4例1 係数の絶対値が等しい連立方程式の解き方1 , 2 の左辺どうし,右辺どうしをそれぞれたすとy= 3を1 に代入すると 3x+2*3=9 x=1次の課題 連立方程式 は,これまでに学んだ方法で解けるかな。x+3y=172x+y=143x+2y=9 …… 1-3x+5y=12 …… 23x+2y= 9+)-3x+5y=127y=21y= 3答 x=1y=3深めよう補充問題8??p.215チャレンジ ??答p.424x-2y=0x+2y+3=3知っていることを使えるようにする大切 な見方・考え方文字が1 つだけの方程式をつくる15102020151055140[ 表] [ 式] [ グラフ]x -11 1 1 1… 1 2 3y … -2 2 4 6……xy02 2 2 2y= 2 x01122比例定数O次の図は,比例の関係y=2xの比例定数2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめたものです。これにならって,比例の関係y=-2xの比例定数-2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめてみましょう。問6比例の関係y=axのグラフは,原点と,点(1,a)を通る直線である。1 a>0のときは右上がり 2 a<0のときは右下がり比例のグラフ次の課題 対応するxとyの値が何組わかれば,比例の式を求められるかな。yxO 増加増加(1, a)(1, a)a1yxO増加減少a1WEB深めよう関連づけてまとめる大切 な見方・考え方表,式,グラフを関連づける1015152025▲ 1 年p.140▲ 2 年p.25112ノート3 冊と60 円の消しゴム1 個を買ったところ,代金が420 円でした。ノート1冊の値段を求めましょう。 1 冊 円 1個 60 円(ノート3 冊の代金) + (消しゴム1 個の代金) = (全部の代金)ノート1 冊をx円とするとノート3 冊の代金は3x 円ノート3 冊と消しゴム1 個を買った代金が420 円になることから 3x + 60 = 420 3x=420-60 3 x=360x=120ノート1 冊を120 円とすると,問題にあいます。 答 120 円もも2 個を300 円の箱につめてもらったところ,代金が940 円でした。もも1 個の値段を求めなさい。問1めあて 方程式を使って,身のまわりの問題を解いてみよう。例1 求める数量をxとして方程式をつくる問題2 節 方程式の活用1 方程式の活用1 どの数量をx で 表すか決める。4 方程式を解く。2 問題にふくまれる数量を, x を使って表す。3 等しい関係に着目して, 方程式をつくる。5 方程式の解が,問題に あうかどうかを確かめる。数量の関係に着目する大切 な見方・考え方等しい関係に着目して方程式をつくる5101520▲ 1 年p.112▲ 2 年p.41 そもそも数学の学習は,未習の問題を既習事項と関連付けて解決するプロセスですので,生徒には授業の中で,既習事項をどのように関連付けるかということを考えさせたいところです。 また,先生から与えられた問題だけを考えるのではなく,自ら発展的に考えられる生徒を育てることも重要です。そのためには,問題の発展のさせ方や作り方を指導することが必要になるでしょう。問題の●引用・参考文献文部科学省(2018).『中学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 数学編』,日本文教出版.条件を変えて考えたり,性質や法則が成り立つ範囲を考えたりすることがそれにあたります。「数学的な見方」については,一つ一つの授業場面でより具体的に捉える必要があります数学的な見方・考え方を明らかにし,クラス全体で共有したり,よさを感得させたりすることが重要です各小節では,その学習場面で働かせるべき見方・考え方を〈大切な見方・考え方〉として示しています。140[ 表] [ 式] [ グラフ]x -11 1 1 1… 1 2 3y … -2 2 4 6……xy02 2 2 2y= 2 x01122比例定数O 比例のグラフについて,次のようにまとめることができます。次の図は,比例の関係y=2xの比例定数2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめたものです。これにならって,比例の関係y=-2xの比例定数-2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめてみましょう。問6比例の関係y=axのグラフは,原点と,点(1,a)を通る直線である。1 a>0のときは右上がり 2 a<0のときは右下がり比例のグラフ次の課題 対応するxとyの値が何組わかれば,比例の式を求められるかな。yxO 増加増加(1, a)(1, a)a1yxO増加減少a1WEB深めよう関連づけてまとめる大切 な見方・考え方表,式,グラフを関連づける101015152025140[ 表] [ 式] [ グラフ]x -11 1 1 1… 1 2 3y … -2 2 4 6……xy02 2 2 2y= 2 x01122比例定数O 比例のグラフについて,次のようにまとめることができます。次の図は,比例の関係y=2xの比例定数2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめたものです。これにならって,比例の関係y=-2xの比例定数-2が,表やグラフのどこに現れるかをまとめてみましょう。問6比例の関係y=axのグラフは,原点と,点(1,a)を通る直線である。1 a>0のときは右上がり 2 a<0のときは右下がり比例のグラフ次の課題 対応するxとyの値が何組わかれば,比例の式を求められるかな。yxO 増加増加(1, a)(1, a)a1yxO増加減少a1WEB深めよう関連づけてまとめる大切 な見方・考え方表,式,グラフを関連づける1010151520251 年巻頭 190314 次の章の学習につながる問題などです。家庭での学習に役立ててください。章の扉とびら・節章の扉 これから学ぶことのきっかけとなる場面です。節 各章はいくつかの節に,節はさらに小節に分かれています。 次の学習に進むための出発点となる問題です。確かめようは,すでに学んだ問題が出発点となります。めあて 学習のめあてを示しています。例1 学習する内容を理解するための具体例です。解答例のうち,ノート風の枠わく内にかかれたものは,標準的な解答のかき方を示しています。がある場合は,自分でその例を完成しましょう。問1 学習する内容をより理解するための問題です。次のようマークがついているものもあります。考えよう 解決の方法などを自分なりに考える問題です。話し合おう 話し合いを通して解決したり, 考えを高め合ったりする問題です。深めよう 学習の過程をふり返るなどして 理解を深める問題です。説明できるかな? 方法や理由などを説明する問題です。やってみよう 学んだことを活用して考える課題です。まちがえやすい問題 まちがえたり誤解したりしやすい問題です。次の課題 新たな問題に目を向けるための問いかけです。次の章を学ぶ前に確かめすでに学んだ内容であることを示しています。参考になるページを示しているものもあります。その場面で身につけたい数学的な見方・考え方です。大切 な見方・考え方時間にゆとりがあるときに自分で取り組む問題です。チャレンジこの本の使い方補ほ充じゅうの問題がのっているページを示しています。家庭での復習などに役立ててください。補充問題1??p.279***1 年巻頭 190314 次の章の学習につながる問題などです。家庭での学習に役立ててください。章の扉とびら・節章の扉 これから学ぶことのきっかけとなる場面です。節 各章はいくつかの節に,節はさらに小節に分かれています。 次の学習に進むための出発点となる問題です。確かめようは,すでに学んだ問題が出発点となります。めあて 学習のめあてを示しています。例1 学習する内容を理解するための具体例です。解答例のうち,ノート風の枠わく内にかかれたものは,標準的な解答のかき方を示しています。がある場合は,自分でその例を完成しましょう。問1 学習する内容をより理解するため問題です。次のようなマークがついているものもあり考えよう 解決の方法などを自分なりに考える問題です。話し合おう 話し合いを通して解決したり, 考えを高め合ったりする問題です。深めよう 学習の過程をふり返るなどして 理解を深める問題です。説明できるかな? 方法や理由などを説明する問題です。やってみよう 学んだことを活用して考える課題です。まちがえやすい問題 まちがえたり誤解したりしやすい問題です。次の課題 新たな問題に目を向けるための問いかけです。学び合おう 自分で考え,みんなで話し合って理解を深めていく小節です。巻末の対話シートを使って話し合いましょう。次の章を学ぶ前に確かめすでに学んだ内容であることを示しています。参考になるページを示しているものもあります。その場面で身につけたい数学的な見方・考え方です。大切 な見方・考え方時間にゆとりがあるときに自分で取り組む問題です。チャレンジこの本の使い方補ほ充じゅうの問題がのっているページを示しています。家庭での復習などに役立ててください。補充問題1??p.279***10 算数・数学情報誌 ROOT No.26 算数・数学情報誌 ROOT No.26 11