ブックタイトルROOT No.26 『中学数学』教科書特集号

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概要

ROOT No.26 『中学数学』教科書特集号

④ 数学科の目標に「数学的な見方・考え方を働かせ」という言葉が入りました。 見方・考え方を働かせた学習活動を通して,目標に示す資質・能力の育成を目指します。また,数学的な見方・考え方もさらに豊かなものとしていきます。飯田:① 全教科に共通のこととして,育成をめざす資質・能力が「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」の3つに整理されました。 数学科の総括目標や各学年の目標も,この3つの柱に沿って示されています。内容も「 知識及び技能」と「思考力,判断力,表現力等」に分けて示されています。特に後者は積極的に記述されました。② 資質・能力の育成に向けて,生徒の「主体的・対話的で深い学び」の実現を図ることになりました。「深い学び」については,教材ごとに研究していく必要があるところだと思います。③ 中学校数学科としては, 「数学的活動」について,中央教育審議会答申で示された「算数・数学の学習過程のイメージ」で捉え直すことになりました。 この図については,『中学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 数学編』(文部科学省,2018)〔本稿では以下『解説』と略記〕のp.23 ~ 24 でくわしく説明されています。 現場でも,この図に沿った数学的活動の研究が進められています。「深い学び」も,この図をもとに考えていくといいのではないかと思います。山口:各学年に       という小節を3~4か所設け,典型的な問題解決の過程を「①見通しをもとう」「②考えよう」「③話し合おう」「④ふり返ろう」「⑤深めよう」という5つのステップで示しています。日本文教出版の教科書では,これまでも問題解決の過程を重視して,数学的活動を取り入れてきました。それを「算数・数学の学習過程のイメージ」の図と対応させながら,さらに充実させたところが今回の教科書の特徴だと思います。岡崎:話し合う前には,生徒がまず自分の考えをもっておくことが大事です。そこで,1 年p.87 の見通しをもつ場面では,「5個の場合」「6個の場合」「n個の場合」を見せ,どこが変わって,どこが変わらないかということを帰納的に見つけさせます。これを手掛かりとして,ほかの考え方を各自で考えるようにしています。 このように,一人ひとりに自分の考えを持たせてから話し合いに臨めるようにしています。 この教科書の巻末には,対話シートがあります。対話シートは,自分の考えを整理し,説明の準備を―新学習指導要領は,これまでのものとどのよう   なところがちがいますか。―「主体的・対話的で深い学び」を実現するため  に,どのような工夫をしていますか?① 新学習指導要領のポイント② 主体的・対話的で深い学びについて▲「算数・数学の学習過程のイメージ」の図させた上で発表に臨ませる,といった指導に役立ちます。これは,ノートの整理の仕方を身に付ける意味でも有効ではないかと思います。石川:この対話シートはいいですね。自分の考えをもっていないと対話しても何も深まらないのですが,自分の考えを書く欄があり,友だちと考えを見せ合うこともできますし,友だちの考えを書くこともできます。あまり制約がなく自由に記述できるので使いやすいと思いました。いろいろな人の意見を聞くことが思考や態度の変容を確かなものにしていくので,考えが深まりやすくなっているなと思います。▲ 1 年p.87?8987文字と式2章右の図のように,1 辺にn 個ずつ碁ご石いしを並べて正三角形の形をつくります。碁石の総数をnの式で表しましょう。簡単な場合を考えてから,n 個の場合を考えましょう。3 節 文字式の活用1 碁石の総数を表す式を求め説明しよう彩あやさんは,1 辺が「5 個の場合」や「6 個の場合」を考えてから,「n 個の場合」を考えることにしました。次に示したのは,彩さんの考えを示したノートの一部です。[彩さんのノート]彩さんの考えをもとに,1 辺がn 個の場合の碁石の総数を式に表しましょう。図と式を関連づけて碁石の総数を表す式を求め,その求め方を説明しよう。彩さんとはちがう方法で碁石の総数を表す式を求め,その式の求め方を,303 ページの対話シートにかきましょう。1 見通しをもとうめあて2 考えよう学び合おう対話シート ?p.303いくつかの場合から予想する大切 な見方・考え方具体的な数で考えるn個■1辺が5個の場合    ■1辺が6個の場合    ■1辺がn個の場合5個6個n個5個6個n個5個6個n個5 - 1 4 * 3 6 - 1 5 * 3551010151520881 年2 章 190314(1) 各自で考えた求め方をもとに,どんな求め方があるか,話し合いましょう。(2) 碁石の総数を表す式の求め方を,下の彩さんのように説明しましょう。3 話し合おういろいろな求め方を見つけて,それぞれの求め方の特とく徴ちょうについて話し合おう。どちらの図にも,囲みが3つあるね。彩さんの囲み方には重なりがないね。ほかの求め方はないかな。1つの囲みの中に碁ご石いしは何個あるかな。彩あやさんが考えた図ほかの考えの例[彩さんの対話シート]正三角形の辺ごとに1つの頂点以外を囲んでいるので,1つのまとまりは(n-1)個です。同じまとまりが3つあるので,碁石の総数は,3(n-1)個になります。 1 辺の碁石の数をn個とすると 碁石の総数は 3 (n-1) 個1辺の碁石の数から1ひいた数三角形の辺の数表現の例彩あやさん根こん拠きょを明らかにする大切 な見方・考え方図と式を関連づけて説明するn個n個n個n個(n-1) 個n個55101589文字と式2章次の問いに答えなさい。 (1) アの図,イの式,ウの式からそれぞれの考えを読み取り,図から式,式から図に表しましょう。ア            イ            ウ(2) 碁石の総数を表す式は,計算するとどれも同じになることを確かめましょう。(3) 1 辺が20 個の場合,碁石の総数は何個になりますか。1辺が100 個の場合は,何個になりますか。問1n+(n-1)+(n-2) 3(n-2)+3この学習では,どんな方法が役に立ちましたか。また,次にどんなことをしてみたいですか。 の「正三角形」の部分を別の図形に変えて新しい問題をつくり, 4 でふり返ったことを生かして,碁石の総数を式に表しましょう。碁石を並べる形を正a角形,1 辺の個数をn個として,碁石の総数をaとnを使った式に表してみましょう。4 ふり返ろう5 深めよう6 もっと深めようn個n個n個n個条件を変えて考える大切 な見方・考え方正三角形→ 別の図形陸りくさん551015福岡教育大学学長飯田 慎司 先生東京都豊島区指導教諭石川 和代 先生鹿児島大学教授山口 武志 先生岡山大学大学院教授岡崎 正和 先生  新学習指導要領のポイント ① 育成をめざす資質・能力が3つの柱に沿っ     て示された。 ② 「主体的・対話的で深い学び」の実現を   図ることが求められた。 ③ 「数学的活動」の捉え直しがなされた。 ④ 「数学的な見方・考え方」を働かせながら   学習に取り組むことが示された。?? 1 年p.303 (対話シートの記入例)切り取って使えるワークシートです。2   算数・数学情報誌 ROOT No.26 算数・数学情報誌 ROOT No.26 3