ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

生活&総合navi vol.69

おしえて!藤井先生藤井千春早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(教育学)。1958年千葉県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。茨城大学助教授などを歴任。ジョン・デューイの哲学と教育学を研究。著書『問題解決学習のストラテジー』『子ども学入門』『問題解決学習の授業原理』(いずれも明治図書)など多数。Q総合的な学習の時間の調べ学習において,子どもたちの活動は,ともするとインターネット上の情報のまとめで終わってしまいがちです。単なるまとめに終わることがないように,どういったことに注意してインターネットを活用するとよいでしょうか。Aこのような学習活動は,しばしば皮肉を込めて,「検索→プリントアウト→切りってつくる料理を失敗したくない,また,食べた人から「美味しいよ」と評価をもらいたい,などが貼り学習」,あるいは「お調べ→書写→朗読学習」などと揶揄されています。総合的な学習の時間の学習活動で,コンピュータに関する技能を習得させることは重要なことです。しかし,この時間の趣旨に照らすならば,子どもたちが,課題達成の探究における手段として,必然性をもってインターネットを活用することが重要です。探究において,「調べる」という,情報を集める活動は,課題をやり遂げるための,あるいは問題を解決するための手段として位置付きます。例えば,自分たちで育てて収穫したお米を使って,「ライス・パーティー」をするという課題を達成する過程では,自分たちのグループで料理するピラフ,あるいは雑炊など,それらのつくり方に関する情報を集めるというように,調べ活動を位置付けることが必要です。動機となるとき,より多くの情報を得ようと,また,適切な情報を選択しようと,さらには情報の内容を正しく理解しようと,子どもたちは真剣になります。課題を成功させたいという意欲が,情報の収集・選択・吟味を真剣なものにするのです。このようにして情報活用能力は育つのです。したがって,調べ活動で終わっている学習活動は,探究としては成立していないのです。また,調べただけの内容の発表は,聞き手への意識の薄い「朗読」に終わりがちです。そのため,聞き手の興味・関心を引き出されないままに終わりがちです。「言語活動の充実」した学習活動とは言えません。当然のこととして,情報の意味の理解は浅く,吟味はなされていません。優れた情報を得て,それを十分に活用するという調べ活動は,課題達成に向けての必然性のある探究の中で行われるのです。そのように位置付くと,子どもたちは情報収集だけではなく,得られた情報の選択や内容の吟味にも真剣になります。自分たちで育てたお米を使12