ブックタイトル生活&総合navi vol.69
- ページ
- 17/36
このページは 生活&総合navi vol.69 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 生活&総合navi vol.69 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
生活&総合navi vol.69
づくりにおいては,何を残し,何を新しくつくるかを考える必要があることに気付いた。(4)構想を練る活動本単元では,未来のまちの姿を模型に表現する活動を取り入れた。エリアは学校周辺のまちで,今までのまちと新しくつくられるまちの両方が含まれている。クラスごとに模型に表現して,四つのまちの姿を提案する。未来の時期は,話し合いで10~15年後に設定された。一人ひとりが,選んだまちづくりの視点に沿った具体的なアイデアを考えた。市長役の子が中心となってクラスごとのまちづくりのテーマを決めた。1組:人と時がつながったハーモニーシティ七郷2組:緑と太陽を生かしたまち七郷3組:絆が深く美しいガーデンシティ七郷4組:おもてなしの心あふれる七郷タウン活動が進むにつれ,つながりや絆,おもてなしなどを模型にどう表現していくかが鍵となっていった。(5)思考を伴う模型製作活動模型製作のよさは,アイデアが変更された場合でもつくり替えるのが可能なことである。子どもたちは,話し合いを繰り返して何度も修正しながら自分たちのアイデアを模型に表現していった。《人と環境の視点からの思考・表現》子どもたちは,地下鉄の開通や新たなまちの建設によって便利さを望む一方で,田んぼの風景や地域のつながりなど,「七郷ならではのよさ」を失ってほしくないという思いも抱いていた。人と環境の視点でどうバランスをとっていくかを,思考・判断しながらアイデアとその表現としての模型の見直しをしていくこととなった。《つながりからの思考・表現》製作途中でそれぞれの模型を合わせてみると,まち全体の姿となる。しかし,よく見ると,子どもたちは,まちとしての統一感がないことに気付いた。市長役の子がクラスのみんなに指示を出して,協力し合いながら街路樹や用水路などのつながりを見ていき,住宅の戸数や全体に広げるアイデアなどを考えていった。さらに,病院や警察署など,まちとして必要な公共施設や機能をどこに置くか,10年後の進化した姿になっているかなども考慮しながら,ようやく一つのまちとして形が整えられた。(6)子どもたちが提案するまちの姿今までお世話になった方々を招待して,完成披露会を開いた。模型を見ただけでは伝わらないので,模型を使って一人ひとりに具体的なアイデアを説明させた。「わたしは,みんなが使える畑をつくりました。野菜は,七郷の曲がりネギや仙台白菜などです。農家の方からアドバイスを受けながら育てることができます。」「浄水施設を設置しました。災害で水道が止まったときに,用水路の水をくみ上げて飲み水にします。」説明を聞くことによって,はじめて模型に込められた意味がゲストに伝わった。なお,模型はそのまま残しておくことができないので,「未来の七郷まちづくり報告書」としてまとめ,ゲストの方々や行政の人たちに配布して学習を終了した。6.おわりに実践したまちづくりの学習は,震災を経験した子どもたちに,これからの社会に大切なことは何かを考えさせ,未来に対して明るい希望をもたせることができた。2014年3月,日本ユニセフ協会主催のシンポジウムに子ども市長4名が参加してきた。震災時の経験や未来のまちづくりについて熱心に語る子どもたちの姿にたくましさを感じた。今後も継続して,復興の担い手となる子どもたちを育てていきたい。15