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概要

生活&総合navi vol.69

わいの旅その16村川雅弘M A S A H I R O M U R A K A W A鳴門教育大学大学院教授。専門は教育工学,カリキュラム開発,生活科・総合的な学習。日本教育工学会理事,中教審専門部会委員などを歴任。な次代を生き抜く力」が育っている。1月29・30日の公開研究会でその後の展開を見るのが楽しみだ。響き合い高め合う集団横浜市立大岡小学校(相澤昭宏校長)は,大手町小学校とともに本連載におけるここ数年の常連校である。学級ごとに,1年がかりの総合的な学習の時間を展開している。新任教員にも例外はない。どのようにして新任教員も単元づくりに入っていくのか。その秘密を探るべく,4月中旬に訪問した。中堅教員が体験活動をもとに課題づくりを行う授業を見せてくれた。敢えて新しい方法(ふせんやミニ黒板を使ったグループ協議)に挑戦している。若手教員へのモデル的な授業にもかかわらず,守りに入らない。この姿勢を若手が学んでいくのだろう。校内研究では,「基礎勉強会」を参観させてもらった。研究主題でもある「響き合う」,「高め合う」について中堅・ベテランと若手がチームになり,その意味や関係について協議し,模造紙にまとめて行った。「集団は自立した個の集合」,「個々の役割や得意をみんながわかっている,自分後送もわかっている」,「響き合う集団だからこそ高め合える」,「響き合うためには思考の仕方を視覚化する」,「一人ひとりの考えを意味付け,価値付けることが必要」等々が語られ,共有化が図られる。このような理論研究にもしっかりと取り組んでいるのも,大岡小学校の強みなのだろう。彼らこそがまさに,響き合い高め合う教員集団なのである。今年度赴任してきた相澤校長とは古い付き合いがある。日枝小学校時代にユニークな総合的学習の時間の授業を見せてもらった。この頃に刊行した著書には,何度か登場してもらっている。5・6年「炭検!発見!自然のパワー!!」(平成11・12年度)の授業において,教室天井の隅から隅まで炭がぶら下がっていた様子は今でも覚えている。安心感・信頼感のある学校横浜市立日枝小学校(大内美智子校長)の総合的な学習の時間は30年ほどの歴史がある。大岡小学校と同様に,学級ごとに取り組む。平成10年前後は年に数回通いつめ,数多くの実践を見せてもらった。子どもが蒔田公園の設計にかかわる「蒔田公園の設計」や外国の人との交流会を開催する「日枝ラシア」,乳製品の歴史を探り表現した「劇団ミルキーズ」など,たくさんの傑作を生んだ。十数年ぶりに門をくぐった。1年生活科「がっこうとなかよしだいさくせん」の授業を参観した。1階の各部屋と教職員についての探検の発表だった。発表意欲が高く積極的に発言しようとするが,友だちが語り始めると聞き入る。うまく話せない子をじっと待つ。授業者は教師の「出」と「待ち」のタイミングを本時の視点に挙げているが,子どもたちにその姿を見ることができた。また,ファイルやメモを見ることなく,部屋の様子や出会った人のことを語るのだが,そのときの様子が目に浮かぶほどリアリティーがあった。豊かな探検であったことが伺われた。校内研究において,早稲田大学の藤井千春先生からよい話を聞いた。日枝小学校出身者のゼミ生が「先生はみんな仲がよかった。」,「先生みんなが自分のことをよくわかっていると感じた。」と語ったという。生活科や総合的な学習の時間の効果の一つに,教員の協働性の向上がある。それが子どもにも伝わっていたのだ。その学生の話からどうやら「劇団ミルキーズ」の一員のようだ。大岡小学校と日枝小学校の公開研究会は,1月23日午後と24日午前に連続してある。贅沢な組み合わせだ。神社古道23