ブックタイトル生活&総合navi vol.69
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生活&総合navi vol.69
特集地域からの発信持続可能な未来へのヒントを探る~共存の森ネットワークの取り組み(東京都世田谷区)~今年は持続可能な開発のための教育(ESD)に関する世界会議が日本で開催されます。その関連から里山の保全等「自然との共生」についての活動を行っているNPO法人共存の森ネットワークの吉野奈保子事務局長に話を伺いました。誕生!共存の森ネットワーク今から14年ほど前に林野庁は,森とともに生きてきた人たちを「森の名手・名人」という形で,毎年,選定・表彰する制度を検討していました。当時,そのための有識者会議があり,委員として作家の塩野米松先生や渋澤寿一(現・当団体理事長)らが入っていました。塩野先生から「名人らに表彰状をあげることは非常によいことだけれども,それだけでは床の間に飾って終わってしまう。名人が森とともに生きてきた技や知恵,心などを本当に次の世代につないでいこうとするのであれば,何かもう一工夫しないと企画倒れになってしまう。例えば高校生にそのおじいちゃんやおばあちゃんのところに話を聞きに行かせて,聞いて書くという形で記録に残すことができないか,その人の言葉,つまり話し言葉で文章をまとめていくという作業をやってはどうか」と提案がありました。そして皆が賛成し,文部科学省も賛同して,平成14年,『聞き書き甲子園』(毎年全国100人の高校生が名人に話を聞き,記録を書き残す活動)が国の事業としてスタートすることになったのです。とはいえ,国▲3月に行われた『聞き書き甲子園』の様子が毎年こういったことに予算をつけることは難しいので,NPO法人がプラットホームになり,企業や団体の協賛,協力を得て,2回目以降続吉野奈保子けていく方法を模索NPO法人共存の森ネットワークすることになりまし事務局長た。渋澤は当時,樹木環境ネットワーク協会というNPO法人の専務理事だったのですが,その協会で事務局を引き受けようということになり,協会のスタッフだったわたしが担当者として任命されました。わたしは初めて事務局に携わるということもあり,右も左もわからなかったため,前年に参加した関東地方近辺の子どもたちに手紙を書いて,「今年も『聞き書き甲子園』をやります。昨年どのような雰囲気だったのか話を聞いてみたいので,誰か手伝いに来てくれませんか」と呼びかけました。すると,5人の高校生から返事がありました。その高校生パワーも加わり,第2回の『聞き書き甲子園』は,盛会のうちに終了しました。その後,彼らと様々な話をしました。すると,ある高校生から「名人は,日本の山は手入れが行き届かず,山が泣いていると言っていました。わたしたちは話を聞いただけで終わりにしたくありません。何か具体的な行動をすることができないでしょうか。」という申し出がありました。彼らは,平▲「聞き書き」をしている様子1