ブックタイトル生活&総合navi vol.69
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生活&総合navi vol.69
成15年,任意の活動団体として,まずは自分たちで“共存の森”という名前のグループを立ち上げました。それがこのNPO法人共存の森ネットワークの母体になっています。翌年,千葉県市原市の県有林を借りて,活動が始まりました。また,関西や東北地方にある農山村の集落でも同様の活動が始まり,拠点がみるみるうちに増えていきました。これらの地域では,里山や棚田の保全活動をしました。高校生だった彼らも大学生になり,さらに仲間を増やして活動をしていきました。また,『聞き書き甲子園』に参加する高校生の研修も,彼らが手伝ってくれるようになりました。平成19年,NPO法人格を取得し,今では,山村に生きる人がどのような思いで森を育ててきたのかなど,農山漁村地域に暮らす人々の思いを受け止めた上で,何かできることはないのかということを考え,活動をしていく,そんな団体になっています。取り組みの深化森から始まった『聞き書き甲子園』は,今では,海,川の分野にも広がりました。また,高校を卒業した彼らは,地域の人の話を聞き,その地域の十年後のビジョンを描き,地域の人や地元企業の皆さんとも連携しながら,環境保全や地域づくりをサポートする活動もしています。この「聞き書き」を通して自然を見つめると,単なる理科の知識としての自然から,その中でどう人が生きてきたのかという知恵や文化としての自然を知ることができます。それを知ったときの子どもたちの驚きは,この上なく大きいものです。こんな話を耳にします。生物多様性保全の活動を行うときに,「このエリアの里山については自分たちが保全活動をしますよ。」とNPOや保全団体が囲ってしまい,地域の人が関係ないところで活動が行われてしまっているというような話です。わたしたちは,まずは地域の人に話を聞こうというところからスタートして,そこに暮らしている人たちと一緒に活動することを大切にしています。人と人,人と自然,世代と世代をつないでいくことが重要だと考えています。学校とコラボ!最近では,小・中学校の総合的な学習の時間の支援ひなせも行うようになりました。岡山県備前市立日生中学校では,アマモ場(海藻が茂る場所)の再生活動とともに,中学生が地元の漁師さんに話を聞く活動をお手伝いしています。もともとこの学校では,総合的な学習の時間で,1年生が漁協に協力してもらって牡蠣養殖体験を行っていました。2年生はハンセン病について,3年生は沖縄への修学旅行も兼ねて平和学習を行っています。なかでも,1年生の牡蠣養殖体験は大切な柱になっていますが,海についての学習への広がりはあり▲日生中学校の生徒によるアマモ回収作業ませんでした。そこで,日生中学校に,地場産業の学習を深めるために牡蠣養殖体験をするだけではなく,アマモ場の再生活動にも取り組んで,海の環境について学ぶようにしてはどうかと提案したのです。子どもたちは,漁師さんに船へ乗せてもらって流れ藻の回収や種まきの作業を行います。単なる体験だけでなく,漁師さんへの「聞き書き」を通して,地域の歴史や暮らしを学びます。海の学習には,社会科や国語の要素も入っています。日生中学校と協働してわかったことは,特色ある取り組みをしたいという際に,先生方だけではなかなか難しいということです。生活科や総合的な学習の時間などで,何か工夫をしたいと思っても,先生方は忙しくて時間が足りない。さらには,学校の予算も足りません。本当は発表会で東京に行かせたい,少し遠くても意味のある体験をさせたい。だけどバスを借りるお金がないというような話になってしまうわけです。よりよい教育をしたいと思っている先生ほど外部との接2