ブックタイトル生活&総合navi vol.69
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生活&総合navi vol.69
自然とともに学ぶ,全国初の「小学校農業科」最前線!~福島県喜多方市教育委員会の取り組み~続いて,自然とともに活動している喜多方市からの事例報告です。前教育部学校教育課渡部通主査●農業科ってどんなもの?中央教育審議会において,外国語活動やICT教育が中心話題だった10年余り前,中教審の委員をされていたJT生命誌研究館・館長の中村桂子先生が,その当時,「農業こそ小学校で必修にする必要がある」と日本経済新聞のコラムで書かれていました。それを見た市長が,教育委員会に「これ,喜多方市でできないかな」と提案されたのです。とはいえ,当時の指導主事たちの間では,さすがに難しいだろうということになり,断る理由を探しに地元の農業高校へ視察に行ったのです。すると,その指導主事の一人が小学校の教頭時代に教えた子が在籍していました(中学校で不登校になり,その後その高校へ)。農業高校の先生方と話していると,その教え子は不登校のときとは別人のように高校生活を過ごしているというのです。その理由を尋ねると,1農業高校なので農作物はかなりたくさんの量をつくる。2命を育てることから,自分も育ち,農業をやることで責任感などが育つ。3学校に行きたくないのではなくて,行きたいと自然と思えてくる。というのです。このことが,農業のもつ教育的な効果を追究するきっかけでした。生きていくためには絶対に何かを食べなくてはなりません。その意味で,農業は人間にとって最も大切なものの一つであるといえます。農産物の生産過程を知らないというのは本来ありえないことだと思うのです。半世紀前までは,当たり前のように子どもたちも生産の現場に携わっていましたが,今ではそのような機会が減り,その世代が中心になってきています。すると今まで当たり前であったものが,だんだんと失われていくのです。そこで改めて農業に見出したのが,命や共生,思いやり,環境について学んだり,ゆとりや持続性,耐性,想像力,判断力,実践力を育んだりすることです。生きていく中で必要不可欠なものが,農業には全て凝縮されているのです。よって,その教育的意義を確認し,総合的な学習の時間の中で地域一丸となって取り組もうということになったのです。●農業科のねらいとは豊かな心と社会性,主体性を育んでいこうということが最終的なねらいです。4年間系統的に続けることで達成できると考えています。単に学習というのではなくて,もう一歩先にある人格形成にかかわる部分にまでたどりつくというのがわれわれの目標です。農業科では,自分でやってみよう,こうしてみよう,ということがないと進めないところがたくさん出てきます。そのため,子どもたちが失敗することもありま農業科協力員農業科支支援援員豊かな心・社会性・主体性の育成〈教育目標〉〈校内農業科委員会〉・健康で,自らを育て・校長・教頭る心豊かな児童を育・教務主任・担当学年成する。・保護者●つよい子●やさしい子・農業科支援員・農業科協力員●まなぶ子農業活動(一連の農業活動の取り組みを通して)食農教育の取り組み〈学校課題〉・規範意識や社会性の希薄化・自律心や学ぶ意欲の低下・生活習慣の乱れ家庭での作物農業を重要産業と栽培の経験する地域の特色基礎農業科全体構想図〈教科等との関連〉・生活科・理科・家庭科・学級活動・総合的な学習・学校行事農業体験活動に対する地域の支援4