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概要

生活&総合navi vol.69

す。しかし,それが大切なのです。喜多方市の小学校では,5年生と6年生で田植えをやる学校が多いのですが,5年生のときの失敗を生かし,6年生で再チャレンジすることができるのです。ですから,5年生の田植えと6年生の田植えでは田植えの質が全く違います。農業科は,喜多方市の小学生に好評です。楽しく学べるということが一番のポイントではないでしょうか。正に好きこそ物の上手なれです。どろんこになっても怒られないし,作物が実ったときの成果が感じられる,それを体験できたことだけでも子どもたちにとって大きな財産となるのです。●農業科の指導内容を教えてください!どの小学校でも,主に,3,4年生は畑作を行い,5,6年生が稲作を行っています。授業時間数は,総合的な学習の時間の枠で,そのうち35時間を目安に行っています。・全学年共通の指導内容自然の循環(たい肥~収穫)における農業の意味や工夫について学ぶ。また,作物には命があることや,様々な命がかかわり合って農業が成り立っていることについても学ぶ。・各学年の指導内容3年生…1年間の農作業体験を通して,継続して作物の世話をすることの大切さを学ぶことができるようにする。4年生…農作物を育てるためには,土づくりや苗づくり,除草などのきめ細かな作業が大切であることを理解できるようにする。5年生…1年間の農作業体験を通して,食と健康とのかかわりについて学習し,食を守るための農業の大切さについて理解することができるようにする。6年生…1年間の農作業体験を通して,自然界には様々な命が息づいていることや環境を守りながら自然と人間が共生することの大切さを理解することができるようにする。●農業科を実施する上での工夫や注意点は何ですか・工夫…学校の先生だけで農業を教えるのは難しいと思います。専門的な知恵や技を駆使しなければなりません。また,子どもたちが自分でできることが重要で,それには,農作業が機械化される前の「手作業の農業」を知っている方が必要になってきます。まず,そういう人たちが応援してくれるような体制をつくることが重要です。ゆえに,地域の協力,そして,PTAの協力も欠かせません。・注意点…作物の選び方ですが,夏休みに収穫期を迎えるものは避けたほうがよいです。例えば,ナスやキュウリだと多くの場合,夏休みが収穫時期になってしまいます。毎日収穫しないとすぐに大きくなってしまうので,夏休みの期間はチェックが疎かになり,そのうちほったらかしになり,お化け野菜になってしまいます。それではおいしくありません。無駄にしてはいけないことを学ぶことが,命の大切さを知ることにつながります。●さいごに「生きる力を育む」とは,本来どのようなことでしょうか。学力向上のことでしょうか。わたしは,学力向上が人間力に伴ってこそ初めて「生きる力」であると考えています。では,人間力とは,どのようにして育てたらよいのでしょうか。それにはやはり,体験から学ぶ,すなわち実体験から学ぶ,農業のように生活と密着している取り組みが必要なのではないでしょうか。農業は田舎のような広い土地がないとできないと思われている方もいるかもしれませんが,必ずしもそうではありません。校庭の片隅でもいい,プランターでもいい,屋上を緑化してもいいのです。都会だからできないというのではなくて,知恵を出し合い,みんなで一丸となれば,可能性が見えてくるのではないでしょうか。5