ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

生活&総合navi vol.70

スロープ第10回のあ保育園(山口県下関市)下関市としての連携保育園から小学校へ進学するときに,保育要録をつくります。すべての市町村でつくっているのですが,市町村によって様式が異なります。下関市の場合は,子どもの情報を一枚の紙に書いて伝えています。その際,できるだけ細かく記述し,子どもの様子が伝わりやすいようにということを心がけていますが,紙だけですべてが伝わるわけではありませんので,昨年度から,互いが話す機会を設けています。保育士から,いずれ小学校へ入学する子どもに対して普段どう接しているのか,どういう子どもを育てようとしているのかを伝え,それから小学校の先生たちが望む子どもの育ちを話してもらい,互いの思いを理解しながら,「少なくともここまではできています。どこの園も同じです」と言えるような体制づくりをしています。さらにその先は各園の特徴を上乗せするような形で保育を進めようとしています。また小学校の先生方も,どこの園に通っていても同様の育ちがあるということがわかれば,少なくともこのことは全員ができる,という思いで子どもたちを受け入れられ,かかわり方も変わってくるのではないかと思っています。小学校に期待すること保育士と小学校の先生では,まず人員配置からして根本的に違いますので,段差をなくしていこうと思ったときには,やはり互いのことをよく知らないことには始まらないのではないでしょうか。わたしたちも,自分たちの思いを大切にしながらも,先を見据えることが重要だと思っていますし,小学校の先生方も,子どもたちが入学前の段階でどういう生活をしていて,どんな言葉をかけられているのかを知ることにより,子どもへの接し方が見えてくるのではないかと思っています。さいごに(%)7060小学校教職員50保育士403020101できていない2あまりできていない3まあまあできている4できている子どもの状態像に対するイメージ※子どもの状態像とは,食事,排泄,着脱,清潔,安全,人間関係,遊び・運動,社会生活,自然,言葉,表現を指す。(平成26年下関市保育連盟資料)市内すべての園が,共通の土台になるものをきちんと育んでいけるような関係を,できるだけ早くつくることが大切だと思っています。和田先生のひとくちコメント和田信行東京成徳大学子ども学部特任教授。東京都生まれ。都内の小学校教諭を経て,足立区,八王子市の各教育委員会の指導主事,都立教育研究所統括指導主事。その後,新宿区立四谷第三小学校長兼四谷第三幼稚園園長。元全国小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会会長を歴任。専門は幼児教育と小学校教育をつなぐ理論と方法の研究。1金子みすずの心地域の歴史や伝統,地域の文化を生かした保育が行われていることはすばらしいですね。園児も,金子みすずの「わたしと小鳥と鈴と」や「こだまでしょうか」の心を実践していることでしょう。2保・幼・小連携への取り組み方の特色保・幼・小の保育士や教員が,相互理解をしていこうという共通した姿勢が見られます。保・幼・小連絡協議会はもちろんですが,下関市内で共通化した様式の保育要録に,様々な情報を書き込み,小学校への情報提供を充実させている点はとてもよいです。スタートカリキュラムの基本は,このような,保・幼・小の情報の共有から始まるといってもよいでしょう。21