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概要

生活&総合navi vol.70

特色ある実践を求めて味生しむ活・楽総合を冬を迎え,振り返ってみると,昨秋はまさしく実りの秋となり,楽しいことがいっぱいであった。好きな秋刀魚や大根,果物がたくさん味わえた上に,わがタイガースがすごい勢いでカープとジャイアンツを圧倒し,日本シリーズに出てしまった。第1戦までその勢いは続いたが,ホークスの武田投手の大きなカーブに翻弄されてからは打線が大失速!最後は後味の悪い幕切れとなった。この時期は,生活科や総合的な学習の時間においても,子どもがぐんと成長し,活動が充実してくる。その一端を紹介しよう。地域活性化に向け,励まし合い高め合う子ども鳥取県境港市立境小学校(松田寛彦校長)は,校区に「水木しげるロード」がある。バリアフリーや幼稚園交流など,どの学年も地域貢献的な活動を展開している。6年生は「元気みなと商店街を盛り上げる」を共通目標に,プロジェクトチームに分かれて取り組んでいる。前年度の6年生の思いを引き継いでいるのである。商店街をPRするためのカレンダーの作成・配布に取り組んでいるチームの中間報告に対して,他チームがアドバイスをする授業を参観した。3色のふせんは,「いいね・納得」〔青〕,「心配・疑問」〔赤〕,「代案」〔黄〕で使い分けられている(わたしは,ワークショップ型の研修や学習の全国統一基準作成のために[笑],赤〔というよりは桃〕と黄を逆の意味で使うことを勧めている)。各チームからはデザインや費用,部数,配布場所などに関して,様々な要望やアイデアが寄せられた。「町をもっと元気にしたい」という思いが,ひしひしと伝わってきた。この日の振り返りカードの内容を一部紹介したい。「この話し合いで出てきたことすべてをヒントとしてやっていくことによって,話し合いをする前よりも数倍は達成感があがっていくと思う。・・・」,「厳しい意見がたくさんあったと思うけど,それを乗り越えてよいものがつくれます。・・・」,「カレンダーチームの話し合いと自分たちガイドブックチームの意見を照らし合わせてみると,今回もたくさんの課題が見つかりました。…」など,まさに,話し合いを通して協同的に問題解決をしていく価値に気付いていることがわかる。町の人を災害から守りたい高知県には南海地震と津波を想定し,総合的な学習の時間で防災教育に取り組む学校が多い。田野町立田野小学校(野村倫子校長)の5年生も,「田野の宝(いのち)を守る・つなぐ」に取り組んでいる。この日は,事前に地域の人から集めておいた課題に対して,自分たちにできることを見直す話し合いだった。それから,各自の考えをペアでまとめて発表した。「逃げているときに助け合いができればよい」に対しては「近所の人と普段から交流を重ねて仲良くなる」,「避難場所に逃げていたら道が通れなくなっていた」に対しては「複数のルートを考えて伝える」など,八つの課題についてそれぞれ具体的な対応策を考えた。その後,役場の防災担当者から「身近な災害で考える」,「いつも通っているところを視点を変えて見る」などのアドバイスを得た。子どもたちは防災マップづくりを計画しているが,大人やプロには到底勝つことはできない。子ども目線の工夫を期待したい。事後検討会では,東京都新宿区立大久保小学校の「エビデンスベースの授業の見方ワークショップ」※)を導入している。複数の教師がカメラを片手に参観し,子どもの具体的な姿を踏まえた協議を行い,その成果をホワイトボードで整理するという手法である。22