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概要

生活&総合navi vol.75

あなたの色鉛筆を増やしてごらん柔軟性と調和、責任感を学べる教育に生きる希望を失いかけたことも 私は8歳の時に養母とともに日本に来たのですが、イランでは?おしん?が放送されていたので、日本には、おしんの様な方が沢山いるのかと思っていましたが、とても近代的で、ゴミ一つ落ちてなくて、キレイでびっくりしました。 通っていた小学校の校長先生に日本語を教えてもらい、住む家や母が仕事に困っていた時には、給食のおばちゃんに助けられました。日本の方には、本当に親切にしていただいて今日に至っています。 当時は?イラン人?ということだけで、学校でイジメも経験し、一度は生きる希望を失いかけたこともあったのですが、自分を犠牲にしてまで、私のために生きてくれている母を幸せにすることが、私が生かされている理由の一つだと考えるようになりました。悩める子どもたちに夢を与えられる存在になりたい 私自身、子どもの頃から色々なことがありすぎて、自分の感情を表に出せなくなり、大人になれないインナーチャイルド?内なる子ども?をずっと抱えてきたので、唯一、表現というフィルターを通すと、言葉や感情が自然と表に出せて、違う人格の中で隠れていた自分を出すことができると気付きました。なので、今、もっとも夢中になっているのは、演じるお仕事を通して?表現?を磨くことです。そして、養子として私を育ててくれた母に恩返しがしたいので、女優として、もっと多くの人に私という存在を知ってもらうことで、母の名前を歴史に残したいと思い、頑張っています。 最近は、社会的な活動にも積極的に取り組んでいて、国際人権NGO?ヒューマン・ライツ・ウォッチ?の親善大使として、すべての子どもたちが家庭と夢をもてる環境づくりの大切さを訴えています。将来は、母国に?サヘルの家?という孤児院をつくることを目標に掲げているのですが、日本にも600以上の児童養護施設があって、約4万7000人もの子どもたちが暮らしています。私も孤児院で生活していたのでよくわかりますが、大人数で生活すると、大人たちから愛情をそそいでもらえる機会は限られてしまうので、同じ境遇に悩む子どもたちに夢を与えられる存在になれたら嬉しいです。日本の子どもたちへ 私が日本の教育の中で感じたことは、個性を出すことがあまり自由ではなかったなということです。また、自分の意見がみんな必ずあるはずなのに、うまく表現できずに飲み込んでしまう。これからの日本にはディベートができる教育が必要だと私は感じています。ディベートで、否定的になって欲しいのではなく、相手の言葉を聞きながらも、自分の言葉ももった社会人になって欲しいのです。柔軟性と調和、そして責任感を学べる教育が次の世代の財産です。?まわりの言葉も大切だけど、自分自身の思いや考えを大切にしていいんだよ。 あなたの人生はあなたのためでもあるからね、楽しみながら迷いながら道を開拓して欲しい。あなたにしかできないことがあるし、あなただから出会える一期一会もあります。他人は他人。あなたはあなたの色鉛筆を増やしてごらん。?Belief1985年,イラン生まれ。幼少時代を孤児院で過ごし,8歳で養母と来日。様々な苦難を乗り越えながら,高校時代から芸能活動を始め,テレビ,ラジオ,映画,舞台と幅広く活動を展開。国際人権NGOの「すべての子どもに家庭を」の活動で親善大使を務め,第9回若者力大賞を受賞。サヘル・ローズSahel Rosaタレント