ブックタイトル生活&総合navi vol.76 2020年度版生活科教科書特集号

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生活&総合navi vol.76 2020年度版生活科教科書特集号

新版特集生活科教科書も動きも、まるで違うんです。実践写真は、子どもたちの真剣なまなざしや素直な表情がたくさんです。しかし、モデル写真は、演出が入っているのがわかるんですよ。見比べてみて、明らかな違いを感じました。石堂はい、だからこの教科書を使う子どもたちは、写真の中の友だちと、同化していく。そしてそういう気持ちになると、自然と活動がイメージしやすくなるんじゃないかな。八木私は下巻で扱う「町たんけん」の写真選びをしたんですけど、とにかくいっぱい写真があって、もう大変(笑)。下巻17ページには、街の図書室を訪ねた子どもたちが、司書の先生から「おはなし会」の説明を聞いている写真があります。この先生がとても表情豊かに話される方だったので、あがってきた写真も一つひとつ表情が違うんです。そのなかから、「どんな話を小笠原子どもたちが思いや願いをもつことができるような環境づくりは、私自身、日頃から大切にしています。「あきのものでつくってあそぼう」の活動をするとき、拾ってきた木の実や葉っぱですぐオモチャをつくるのではなく、みんなで何日もかけて、少しずつ秋のものを集めてみるのもいいと思います。するとやがて、「うわあ、こんなにいっぱいになったよ!これで遊びたい!」という声が、子どもたちから飛び出してくる。そして素材で遊んでいるうちに、そこから何かをつくったり、あれこれ工夫したりするようになっていきます。そういう流れをつくるために環境を変えていくことが重要だと思います。石堂そういう点でも、この教科書には、子どもたちへの学びのヒント、先生への授業づくりのヒント、聞くことができるかな」という説明文に一番合う1枚を、もう一人の先生と一生懸命に選びました。大変だったけれど、とにかく楽しい作業でした。石堂イラストについても、かなり意識しましたね。教室環境が見えるようにとか、学習の見通しがもちやすいようにとか。下巻18ページの板書のイラストは象徴的です。クラスで一人の子が発表をしてるんだけど、聞いている子が発表している子に目線を合わせていたり、「きっとこういう意味だよね」と隣の子と話す子がいたり、教室のリアルな動きを表現したつもりです。山中いま石堂先生が例にあげた下巻18ページのイラストって、「町たんけん1」の単元で、地元の図書室を見学したあと、教室で振り返りをしている場面ですよね。発表をしている子どもの後ろには、大きな黒板が描かれていて、だいぶ授業が進んでいるのでしょう、その両方についてふんだんな仕掛けが散りばめられていますよね。一つは写真やイラストの「吹き出し」ですね。「あきのものでつくってあそぼう」では、いろんな形のドングリごまで、子どもたちが遊んでいる写真が使われています。その中の子どもの一人に、「まわりかたがちがうね」と書いた吹き出しがついている。これが「つぶやき」です。この吹き出しを読んだ子どもたちは、「ドングリによって、まわりかたがちがうらしいよ。本当かな?」と考えたり、自分でやって試してみよう、丸いドングリと細長いドングリで、回り方を比べてみようと、思ったりする。試す、比較するというのは、考えるための技法です。教科書でも、ドングリごまの回り方の違いに気付いたところで、別のイラストが「いろみんなの意見がだいぶその黒板に、書き出されているのがわかります。これを見た子どもたちは、「こんなふうに、思ったことを整理すればいいんだ」とわかるでしょう。つまりイラスト自体が、考えるための技法をちゃんと見せてくれている。「考えなさい」と言うだけでは、子どもは何をどうすればいいかわかりません。考えるためのスキルを小さい頃から教えることは、生いろな形や大きさで試してみよう」となげかけています。吹き出しが、次の学習へのヒントになっているんです。だから先生たちは、そういう子どもの反応を見逃さないよう、ぜひ吹き出しにも注目してほしい。経験が少ない先生でも、吹き出しを注意して見ていくと、「そうか、子どものこういうつぶやきを拾えばいいんだ」とか、「ここで提示されているのは、考えるための技法だな」とか、簡単に気付けると思います。八木この小単元に出てくる最初の写真、上巻の84ページですが、ここで子どもたちは、ドングリだの葉っぱだの、まだオモチャになっていない"材料"そのもので遊んでいます。子どもって、ここから遊びを始めるんです。若い先生たちは、自分たちも生活科を経験して育って来ていますが、聞いてみると、オモチャをつくったことは覚えていても、材料で遊んだことは覚えていません。若い先生にもベテランの先生にも、「子どもの遊びは、材料に触れるところから始まっている」と思い出してもらうために、とても参考になるページだと思います。石堂この小単元を編集するにあたって、私たちみんなが非常に意識したのは、「動き」なんですよね。子どもたちは、転がす、回す、手に持って振るといった動きに注目活科では非常に大事です。石堂先生も、「考えるための技法を学習活動に取り入れる」という文章を、「生き活きうぃーくる」(14ページ参照)に書いておられますけど、こういう具体的な技法を教えることが、まず生活科で標準になり、さらに他の教科でも応用できるようになったらいいなと思います。教師のための、授業づくりのヒントを満載八木私は、イラストが載っているページは、先生のためのページだと思ったんですよ。「授業をつくっていく上では、こういう板書が必要なんだよ」って、多くの先生に理解してもらうためには、すごく役立つと思うんです。山中そうですね。先生の役割というのは、子どもに何かを教え込むことではない。じゃあ先生は、どうすればいいのか。この教科書には、実はその具体的なやり方が示されている。上巻の84・85ページ、「あきのものでつくってあそぼう」という小単元には、どんぐりや松ぼっくりで、いろんなオモチャをつくって楽しそうに遊ぶ、子どもたちの姿が溢れています。その写真を先生がクラスに見せて、「どう思う?」となげかければ、それだけで子どもたちから発信する形の授業が始められます。子どもたちはこういう写真から、本当にいろんなことを発想しますから、写真一枚見せることからでも、授業はできるのです。石堂それにこういう活動は、幼稚園や保育所、こども園でもよく取り入れているから、子どもが過去の体験を思い出すきっかけになります。子どもたちから、「あっ、これやったことある!」なんて言葉が飛び出してくると、まだ経験の少ない先生も、「なるほど!」と、授業をつないでいけます。この教科書は、そのあたりもよく意識して、先生をサポートするようにつくられている。だから子どもの「つぶやき」も拾いやすいと思います。するだろう。そこに「もっと!」につながるヒントを付け加えると、さらに工夫やこだわりが出てくるんじゃないかと考えた。そうしたヒントを、吹き出しやイラストを使って、読み取りやすいようにしたつもりです。誰にでも一目でわかる、「めあて」と「評価」のポイント小笠原何をつくるかより、私は子どもたちに、遊びの中でいろいろなことに気付いてほしいと思います。そのために、子どもたちが様々なことに気付くことができるような環境を教師がつくることが大切です。山中生活科のものづくりの特徴は、それが生活につながっていることです。オモチャをつくって、それを使って実際に遊ぶことができる。小笠原作品の出来栄えではないですよね。その子がどんなことを試して、工夫してつくったかという、でき上がるまでのプロセスもすべて含めて評価する。山中じゃあそれをどう見取るか、どう評価するか。先生としてそれなりの経験があれば、感覚的にわかるけれど、若い先生たちのために、この教科書には「見取り」のヒントを、できるだけ盛り込みたいと思っていました。写真やイラストを使って、子どもたちの「つぶやき」をたくさん載せたのも、そういう意図からです。小笠原「振り返り」にも重きを置きましたよね。そこから次へつなげていけるように。山中どのページでも、「めあて」と「評価」がちゃんとわかるようになっています。評価で不可欠なのはゴール設定ですから、この学習は何のためにするのかを、最初に子どもたちと一緒に、明確にしておくことが大事です。そのために、各小単元のタイトルが書かれたページには見開き左下の部分に「学習のめあて」欄を置きました。そしてそこに、育成すべき資質・能力の「三つの柱」に基づいた「学習のめあて」を、低学年の子どもにも、わかりやすい言葉で示しました。具体的にいうと、それぞれの小単元について、「こんなことが知りたいな。どんなことができる子どもたちへの学びのヒント、先生への授業づくりのヒントについてふんだんな仕掛けが散りばめられている。板書例などのイラストが載っているページは、先生のためのページだと思ったんですよ。(八木美香)■えき■公こう園えん■交こう番ばんあっ。でこぼこしているよ。ささえている人ひとにも目めをむけよう。こんなこともさせてもらったよ。みんなでつかう場ばしょはほかにもあるね。●図と書しょカードをつくってもらったよ。●そうこにもこんなにたくさんあるんだね。●どんな話はなしを聞きくことができるかな。●図と書しょ室しつの本ほんのせい理りを手てつだったよ。●図と書しょ室しつがしまっていてもかりた本ほんをかえすことができるよ。どんなことができるかな。もういちど行いってみようささえている人ひととふれ合あいながらよさをみつけよう。みんなでつかう場ばしょやもののつかい方かたがわかったかな。20,134ページも見みてね手てをあらおう16 172020年度版生活科教科書下巻p.17みんなでつかう場ばしょやものを大たい切せつにして正ただしくつかおう。みつけたよさをつなげたりまとめたりしながらつたえ合あおう。本ほんだなに番ばんごうがついています。だからすぐにさがせるんだね。ありがとうございました。本ほんをさがしやすくするためのくふうだね。もっとほかの場ばしょもしらべたいです。みんなにつたえたいな。たんけんをふりかえろうふりかえるつなげる114,117ページも見みてね18 192020年度版生活科教科書下巻p.18-19おもちゃづくりのちゅうい●どのかたちがつかえそうかな。まわりかたがちがうね。なにをつくろうかな。あきのものでつくってあそぼう89,132ページも見みてねさっきと音おとがちがうね。どんぐりをかえてみようかな。いろいろなかたちや大おおきさでためしてみよう。●わたしかたに気きをつける。●まわりではしらない。●ごみはわける。●どんぐりごま●けん玉だま●木きのみのおかし●やじろべえ●マラカスみつけたもののよさを生いかしてつくってあそぼう。84 852020年度版生活科教科書上巻p.84生活科が10倍楽しくなる教科書座談会教科書をつくるにあたって、私は振り返りから次の学習活動への流れを意識しました。(小笠原さちえ)生活科が10倍楽しくなる教科書9生活科が10倍楽しくなる教科書8