ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

生活&総合navi vol.77

0歳児クラス1歳児クラス2歳児クラス朝の会・帰りの会? 手遊びうたの中で,身体の部位やいろいろな名詞を強調して伝える。? 「今日何をしたか」を2歳児さんが答え, 他の子は見て学習する。? 紙芝居や歌の中で,名詞・色・数字を強調して伝える。? 体操をして,身体部位の名前の認識や身体のイメージを育てる。? 紙芝居や歌の中で,名詞・大小・色・形を強調して伝える。? 手遊びうたの中で指の動きの発達を促す。? 出席の際に自分の名前を大きな声で言うことで,発声・発音の力を育てる。お散歩? 季節の草花を見ながら,季節の歌を歌う。? 地域の方との交流を通して,挨拶や話すことの楽しさの見本を大人が見せる。? 子どもの目線になって季節の言葉,感覚の言葉を一緒に使う。? 諸感覚を刺激する遊びをたくさん取り入れる。? ボール遊び,投げる,階段の昇り降り,ジャンプなど身体を使う遊びをたくさん取り入れる。? 草木・花の名前など季節の言葉を伝えていき,記憶する力も育む。自由遊び・製作? 砂遊びの中に,感覚遊び・みなし遊びを取り入れる。? 取り合いのとき,「貸して」「ありがとう」の声掛けの見本を見せる。? 自分で選んで伝える機会をたくさんつくる。? 「何をつくったの?」「何をしたの?」と質問し, 先取りせずに答えを待つ。? おままごとの中で,食べ物の名前や色,やりとりの言葉を伝えていく。? ストローひも通し,トング,はさみなど手先を使う遊びをたくさん取り入れる。どの子も参加し、貢献できる授業をつくるが楽しめる?は、みんなが一律に同じという意味ではないですよね。僕は、一人ひとりの特性やよいところを見つけるために、いっぱいつぶやける子をつくっていきたいんです。一人の子どものつぶやきを元にみんなで考えることで、その子どもの自尊心が育ち、学習が広がり、クラスづくりにもつながるからです。 子どもが話したり書いたりして表現できないなら、ほかの方法を教師が考えればいい。例えば、自分の理解度を振り返って、よくできた、できなかったと、あてはまると思ったところにスーパーボールを投入する?振り返りボックス?ね。ボールにはみんな名前が書いてあるので、?できなかった?にボールを入れた子は、?今日の先生の授業、わからなかったよ?と教えてくれます。こういう表現方法、つぶやきも、あると思いますね。学習・指導のユニバーサルデザイン化で多彩な学び方の選択肢を用意する?村上 表現の選択肢をいくつか用意しておくことは、とても重要です。書くのが苦手な子も参加できますからね。インクルーシブ教育の環境づくりに必要な三つの要素のうち、2番目として、?学習・指導方法のユニバーサルデザイン化?があります?図表??。子どもの"特性"を"障害"にしてしまわないために、どの子も参加できるよう、柔軟で多様な選択肢を最初から用意しておきましょうという意味です。?宮村 多様な方法を取り入れることで、幼児教育から小学校教育への移行の壁も乗り越えられると思いますね。?学習・指導方法のユニバーサルデザイン化?があらゆる場面に導入されたら、小学校に進んだとたんに辛くなるとか、 遊びから勉強に変わったとたんにわからなくなるといったハレーションが、だいぶ減るのではないでしょうか。?石堂 その結果、クラスの雰囲気が嫌だとか、勉強についての悩みとか、不登校の大きな原因を解消することにもつながりそうですね。?村上 多様な学び方を用意したとして、そこでのキーワードは、?子ども自身が選ぶ?ということです。私たち教師が最終的に目指すのは、子どもの学習者としての自立です。小学校の早い段階から、自分はこうすればわかる、こうすればやりやすいと自覚できるようにしておくと中学生になって自主的な学習が求められるようになったときに、それが生きてきて、勉強が嫌にならずにすむと思います。?宮村 保育園の場合は、子どもはまだ自分で選択できませんから、私たちは一人ひとりの子どもをそのまま丸ごと受け止めます。能力を伸ばすという以前に、自分は愛されて育っているという愛着形成の土台をつくることが、この年代では最優先です。?石堂 ネグレクトの子どもが小学校に上がって、発達障害と似た症状が出るという話はよく聞きます。教員がそれを困り感だととらえてしまうと、その子の本心に入っていくことはできません。そこでも宮村さんがおっしゃる、?丸ごと受け止める?が必要です。?村上 先生がその子を知ろうという態度を示すだけで、開く扉は確かにありますよ。信頼感が生まれると、変化が出てくると思います。保護者の目線で考える発達障害と学校現場のあり方?石堂 宮村さんのお子さんは、小1と小2だそうですが、保護者目線ではインクルーシブ教育をどう考えていますか。?宮村 うちは2年生の子が定型発達で、1年生の子は自閉症スペクトラムの発達障害があります。親としては下の子の小学校入学が不安だったのですが、ふたを開けてみたら、定型発達の子どものほうが登校しぶりになってしまいました。学校には行くのですが教室に入れない、人の目がこわくて緊張でお腹が痛くなってしまうのです。それが半年くらい続いたので、一週間ほど学校を休ませて、私との愛着形成をもう一度見直しました。その後、登校班を変えるなどして少し環境を変えたところ、徐々に学校へ行けるようになりました。?石堂 そういう経験を、保育園の保護者にも話すのですか。?宮村 話しますよ。実は下の子どもの発達障害に最初に気付いたのは、?ちゃのま保育園?の保育士さんたちなんです。おかげでうちの子は2歳の段階で、早期発見、早期療育ができました。 でも一般的には保育現場はすごくナイーブで、保育士さんが発達障害の可能性を伝えたとたん、保護者の怒りの矛先が保育園に向かうケースがすごく多いんです。ですから普通は、保育士がお子さんたちの障害に気付いても保護者には話しません。 私は自分の経験もあって、それではいけないと思うので、?ちゃのま保育園? では今年からはっきりと伝えるようにしました。それもいきなり伝えるのではなく、発達障害に関する正確な知識を保護者会で共有し、そのうえで個別に話します。毎日子どもを見ている担任の保育士と園長が子どもへの愛情をベースに話すので、保護者も受け入れてくれますね。?村上 たしかに、保護者の理解が得られるか、得られないかで、状況はすごく変わってきますからね。2歳で発達障害がわかった子が、今、小学校でこんなに元気でやっているとか、ロールモデルになるケースがあれば、親はもっと安心できるだろうと思います。?石堂 学校でも、?教室に居てくれさえしたらいい?といった感覚を教員がもってしまっては絶対にだめです。個人的には、発達障害ではなく発達差としてとらえ、それこそ丸ごとその子の存在を受け止める。子どもどうしの関係でも、互いに認め合える環境を教員が努めてつくっていく。それが学校に子どもの居場所をつくることになります。?村上 私の子どもも、小学1年生でアスペルガー症候群と診断されました。小学校に入ってしばらくしたとき、クラスにはADHD 傾向がある子がほかにもいて、うちの子はその?トリオ?の一人だと、担任の話を聞いて知りました。?いつものあの3人ね?という位置付けで、クラスに居場所を得たようでしたが、先生に悪意はないものの、直ちょく截せつ的な言い方にはやはりショックを受けました。 ADHDの症状は成長とともに変わっていき、元気過ぎる3人組もやがて消滅しました。いずれにしても、クラスに子どもの居場所があることは大事だし、親も状況を知っておいてよかったのだろうと、今は思います。自尊心と参加意識を育むことで学校はよりよい居場所になる?石堂 2年生のクラスで、4月に、三つの種の絵を張り出したんです?実践写真?。それぞれの種には、?優しさのたね??ひらめきのたね??気付きのたね?と書いてあります。子どもたちは、自分が優しいことをしたり、ひらめいたり、気付いたりするたびに、それを葉っぱに書いて貼っていく。葉っぱはどんどん茂り、3学期の終わりにはたくさん花が咲きました。 それを見ている子どもたちからは、自分がこの葉っぱを書いたんだよ、自分もみんなと一緒にこれを育てたんだよという、強いこだわりが伝わってくるんですよ。それが彼らの自尊心で、自尊心とその子の居場所には切っても切れないつながりがあるのではないかと思いました。?村上 発達障害があると、勉強はできないし態度は悪いしで、褒めるところが少ないと言われるんです。でもこの写真を見ると励まされます。子どもたちが見れば、自分もクラスの一員としてちゃんと参加したんだと自覚できるんですよね。親も思い切り子どもを褒めてやれるじゃないですか。そうしたらその子は、もっとクラスに来るのが楽しくなる。そこに自分の居場所があるからです。そして居場所をつくるというのは、先ほどの図?図表??の1番目、?教室環境のユニバーサルデザイン化?に他なりません。?宮村 うちの保育士さんたちがいう?丸ごと受け止める?には、保護者も含まれます。たとえば朝ごはんがつくれないお母さんなら、それはそれでよしとして、朝ごはん抜きの子どもに、園で栄養のあるものをたくさん食べさせる。そんなところから始めて、お母さんにとっても、子どもの保育園が安心できる居場所になると、こちらの話にも耳を傾けてくれるようになっていきます。?石堂 ありがとうございました。後半では、インクルーシブ教育に資する取り組みについても話していきたいと思います。【ちゃのま保育園:言葉を育む?どもたちへの関わりの?夫】人間はそれぞれに得意なことも苦手なこともある,でこぼこした存在だと思うのです(村上先生)後半では,学習障害のある児童生徒への英語指導の実践例などを通して,無理なくインクルーシブ教育を定着させるために学校現場で何が必要か,一人ひとりの教師に何ができるのかを考えます。「優しさのたね」「ひらめきのたね」「気付きのたね」が入った植木鉢。子どもたちは,自分ができたことや気付けたことを葉っぱに書いて貼っていく。実践写真〈〈次号に続く!協力:一般社団法人Kidsサポートデザイン【ちゃのま保育園の大丈夫!カレンダー】子育てに疲れたり,不安になったりしている保護者に向けた保育士からのメッセージと,子どもの発育に関わる多分野の専門家からのアドバイスが書かれた日めくり万年カレンダー。制作:ちゃのま保育園 監修:一般社団法人Kidsサポートデザイン学習障害・発達障害のある児童も含めて,みんなが学びやすい学習環境をつくるために,村上先生が提案する三つのポイント。安心で安全な学習環境の確保,提示物や視覚化の工夫。1.教室環境のユニバーサルデザイン化個のニーズの把握,柔軟で多様な選択肢のある指導。2.学習・指導方法のユニバーサルデザイン化早期発見,早期対応につなげる。3.教科ごとのつまずき傾向の蓄積図表? 【インクルーシブ教育の環境づくりに必要な三つの要素】[特集]みんなが主役になれる学校をつくろう|前編5[特集]みんなが主役になれる学校をつくろう|前編4