社会科のめざすもの(小・中学校 社会)

社会科のめざすもの(小・中学校 社会)

板書力をつける
2010.05.31
社会科のめざすもの(小・中学校 社会) <Vol.01>
板書力をつける
基礎・基本編

社会科のめざすものNo.01表紙

1 はじめに

 板書は、視覚に訴えて、子どもたちの学習意欲を引き出したり、考えを深めたりしながら、本時の目標に到達できるようにするためのものである。板書は、古くからの伝統的な手法であるが、集中力のない子ども、とくに聴覚の認知の弱い子どもなどに対して、視覚に訴えていくことはますます重要になってきている。
 板書は、1時間の授業の構造図であり、最終的に子どもの学習の足跡が残っていくものである。
 そのために、いい授業の仕組みがなければ、いい板書はつくれない。また、板書とは、単に書くことではなく、何を書き、何を書かないのかをとっさに判断していくことであり、子どもの反応に対する教師の受け取めかたのあらわれでもある。板書は奥が深いのである。

2 わかりやすい板書

(1)分節ごとの学習内容を明確に書く
 各分節の主要発問を短く書いたものが、その分節の学習内容である。それを、さらに色チョークで囲む。今、何について話し合っているのか、何について調べているのか、何について考えているのかなどが、子どもたちに明確にわかるようにしていく。話し合いの中で、子どもの発言や意識がずれていった場合でも、囲みを示し、戻すことができる。

(2)資料やカードなどを貼る
 授業で使う資料は黒板に貼る。教科書や資料集にある資料も拡大したものを貼り、子どもたちの意見や考えを、直接、資料の上や周辺に書き込んだり、印をつけていく。また、学習問題や用語、知識として定着させたいものを記入したカードなどを貼るのも効果がある。

(3)チョークの役割
 チョークは、白、赤、黄、青、緑、茶などがある。黒板が黒のため、白墨すなわち白が基本になるが、ほかの色チョークの役割をはっきりさせておく。
なお、特別な場合をのぞいて、3色(白、赤、黄)程度にとどめる。

チョークの色

  • 赤チョーク…重要な語句や内容にしぼり、多用しない。また、傍線や囲みなどにも使用する。
  • 黄チョーク…質問、疑問、問題、囲み、矢印などに使用する。
  • 青チョーク…川、海などの着色に使用する。
  • 茶チョーク…山などの着色に使用する。
  • 緑チョーク…平野などの着色に使用する。

3 深まっていく板書

(1)子どもの思考の流れ
 いくつかの分節の学習内容が、子どもの思考の流れに基づき、左から右に流れていく。次の分節への流れを矢印などでつないでいく。

(2)意見の対立、ずれをとりあげる
 子どもの発言が対立したり、同じ意見でも、目のつけかたが違っていることを取り上げ、焦点化していく。さらに、色チョークで囲んだり、矢印で対立やずれを明確にしたりしながら、話し合わせ、考えを深めさせていく。

(3)子どもが書く
 言葉や身振りだけで表現しにくいものは、黒板に図や絵を書きながら説明させていく。

(4)囲み、傍線、矢印の使用
 大事なことや知識として定着をはかりたい内容については、色チョークで傍線を引いたり、囲んだりして強調していく。
 囲みも、四角や楕円だけでなく、突起のあるものなども使い分け、役割を決めておく。また、同じ考えを囲むとともに、ほかの考えと対立させたり、次に発展していくときは矢印を使う。

4 板書の技術

(1)教室前方の掲示
 黒板上部、右側には様々な掲示物がある。しかし、あまりにも多い時は、子どもの集中力を乱すことがあり、視覚の認知の弱い子ども、集中力のない子どもにとっては、できるだけシンプルなほうがよい。教室の後ろや横の掲示板や壁などに移す。

(2)きれいな黒板
 授業で使う資料は黒板に貼る。教科書や資料集にある資料も拡大したものを貼り、子どもたちの意見や考えを、直接、資料の上や周辺に書き込んだり、印をつけていく。また、学習問題や用語、知識として定着させたいものを記入したカードなどを貼るのも効果がある。

(3)チョークの使い方

  • チョークは角を使いながら回して書く。太さが違う場合は、太い方が先。
  • 親指、人さし指、中指の3本でにぎる。
  • 基本は目の高さで書く。黒板の下のほうに書く時は、しゃがみながら書く。しかし、授業の中では、子どものほうも向きながら、ななめに書くこともある。
  • 着色する際は適当な長さに折り、横むけに塗る。
  • 教師のチョークは長いものを使用する。子ども用には、短いものを、黒板の下の溝につねに用意しておく。
  • 字の大きさは、一番うしろの席の子どもが正しく読める大きさ。強調する時は大きめに書く。
  • 左手(右利きの場合)に、つねに3 本もっておき、とっさに使いわける。

(4)書くスピード
 基本は、子どもの書けるはやさに合わせて書くことであるが、学習問題など重要なものは、わざとゆっくり、大きく書く。
 話し合いの中では、発言の要点だけをすばやく書く。場合によれば、思考が中断しないように、子どもが発言しているあい
だに板書することも必要である。

(5)字の濃さ
 チョークのホルダーは、手が荒れたり、汚れたりしない利点があるが、筆圧の関係で弱い板書になる。

(6)ネームプレート
 子どもの名前をマグネットなどに記入したもの。子どもたちの考えや意見の分布を明確にできるが、つねに、効果的な使用をすることは、意外と難しい。

5 終わりに

 まっすぐに書く、すばやく書く、見やすい字を書くなどは、普段からの練習あるのみ。そして、何よりも、子どもの思考の流れに基づいた授業の仕組みを考えていくことが、板書にとっては大切である。  
 次号では、実践編として、子どもたちの思考が深まる板書とはどういったものなのか、実際の授業で書かれた板書を具体例としてあげ、紹介する。


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