ブックタイトル社会科navi Vol.11
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社会科navi Vol.11
する機会を設けたり,個別の歴史的事象を取り扱いながらも歴史的な見方や考え方を育てることが必要とされるだろう。地理的分野でEUを取り扱う場合を事例にする。このときに大事なことは,国家を超えた地域連合社会(EU社会)の形成とその問題点を解明することだが,その学習で得た地理的な見方や考え方を使って,北アメリカや東南アジアの地域連合社会と比較することや,東アジアの地域連合社会を形成したときの問題点を検討していくことも重要である。また,歴史的分野では,平安時代の学習で遣唐使を取り扱うとき,遣唐使を派遣していたときと停止した後の社会にはどのようなちがいが現れ,どのように変化しているのかを考察することが重要になる。EUや平安時代を事例に述べたことは,現代社会を考察する際の手助けとなる見方や考え方を育てることに寄与するであろう。(2)子供の学びを創り出すこと(アクティブ・ラーニング)小学校の多くの学校では,アクティブ・ラーニングはすでに行われている。しかし,小学校の歴史単元や政治単元では,いまだ講義中心の先生の「教授」で済ませている授業を時々見かける。また中学校の歴史的分野では,時々どころか,常に講義中心,という先生もおられる。問題は,授業計画において,生徒がその授業でどのようなことができるようになるのかが全く考えられていないことである。当然,生徒の「学習」は考えられていない。大切なことは,生徒たちが歴史を学ぶとき,どのような歴史的事象をどのように学ぶことで,何ができるようになるのかを検討しておくことである。平安時代を再度取り上げる。平安京遷都,摂関政治,平氏政権などの政治史の出来事を個別に取り上げて教えることよりも,当時の律令政治(国家)が,経済・社会・文化・外交などの他の要素とどのように関連し,成り立っていたのかを学ぶことを想定してみる。例えば,当時の税の取り方はどのようなものであったかを調べて,その徴収方法が,権力や経済の統制の特色あるいは変化と連動していることを見つけると,その発見は他の時代の学習にも転用可能になるとともに,現代社会の分析と批判にも有効な見方や考え方になる。このように,歴史を学ぶ意義が見えることが重要なのである。(3)社会との関係づくりを重視すること社会科としての変わらぬアイデンティティとして,社会とのかかわりがあげられる。各学校段階で実社会とのかかわりを強化することが求められる。例えば,小学校では地域社会の諸事象を調べるとき,そこで出会った事象を客観的に見ることとともに,そのものとして受け取り,生の社会事象として探究することである。たとえば,スーパーマーケットで売られているバナナやパイナップル,ノルウェー産のさばなどは,外国の産物がなぜここで売られているのかをグローバル化の視点を入れて考察することになる。国内産の商品だけに注目するのではなく,外国産の商品,またその加工品や料理も子供たちの関心になるかもしれない。このようにして,自分の生活や地域社会のなかに,グローバル化を見出すことが,社会とのかかわりへの第一歩となる。このように,次期学習指導要領は,グローバル化の影響を受けて,教育課程の在り方,学校観を転換することで,高等学校の地理歴史科・公民科を中心に,社会科の様相を大きく変えることになると考えられる。著者紹介池野範男(いけののりお)広島大学大学院教育学研究科教授,中央教育審議会教育課程部会教育課程企画特別部会委員専門分野/社会科教育学,シティズンシップ教育主要著書/『社会科の新しい使命』(共著,日本文教出版,2013年),『地域からの社会科の探究』(共著,日本文教出版,2014年)他日本文教出版『小学社会』代表監修者,『中学社会歴史的分野』監修者5