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概要

社会科navi Vol.12

なったが,学習内容や単元でテーマを設定した教科もあった。このように,イメージワークは非常に汎用性の高いものであった。社会科社会科においては,「資料をどのように読み取り,どのように表現するのか」ということについて研究を進めてきた。資料を読み取り表現する力は,限られた領域や単元のみで伸ばされるものではなく,社会科の授業すべてを通して伸ばしていく力である。そこで,社会科部会では,これまでの授業研究でも,領域や単元を限定せずに,4.つながりを重視した授業小中一貫教育全国サミットでの公開授業は,小中教員による協働した授業づくりの成果である。小学校5年生の授業では,食料自給率の変化のグラフから今後の食料自給率の変化を予想し,問題の深刻さについて考えさせることを目標に授業を展開した。中学校1年生の授業では,小学校で扱った食料自給率のグラフと世界地図,身の回りの輸入品を関連づけて考え,日本と世界の繋がりを実感させることを目標に授業を展開した。「食料自給率の変化」という同様の資料を扱い,小中それぞれで授業公開をしたが,広嶺中ブロックにおける9年間を見通した授業のポイントは,イメージワークを核にした授業づくりである。すなわち,小中教員が協働して描いたイメージワークを共通理解し,それぞれの学年での指導のポイントを明確にしたうえで授業づくりに取り組んだことである。これらの取り組みを学習指導案のみで表現することは難しいと考え,広嶺中ブロックでは小中教員が共有した指導にあたっての考え方をトップページに,描いた9年間の指導イメージをイメージワークに,それに基づいて設計した授業とつながりのポイントをトップページと学習指導案に描いている。右にトップページと学習指導案の本時の学習を示す。前項で示したイメージワークと併せて見ることで,本ブロックでのつながりのある授業が明確になった。5.おわりに分離型での小中一貫教育では,離れている学校間の連携が課題である。広嶺中ブロックでは,イ資料を読み取り表現する力に主眼を置いて研修を進めてきた。そこで,私たちは,「子どもたちにつけさせたい,資料活用の力」をテーマにイメージワークを行った。その中で,1「資料からどのような情報を読み取るか」,2「読み取った情報をどのように活用し表現するか」の2点について,9年間の指導イメージを描いた。1「資料からどのような情報を読み取るか」について,前期から中期において複数の写真などからその違いを読み取ったり,グラフから変化を読み取ったりすることができるようにする。後期においては,課題解決のために必要な資料を取捨選択する力を身についけさせてくイメージを持った。2「読み取った情報をどのように活用し表現するか」について,前期において,資料から読み取ったことを自分の言葉で発表させるようにする。中期においては,資料から読み取った情報をもとにその事象の過去や未来などを多面的に考えられるようにする。後期においては,資料から読み取った情報をこれまでの既習事項や,自らの経験と関連させ,より興味を広げていくことができるというように指導のイメージを持った。したがって,本日の公開授業の小5においては,「資料から過去や未来を想像することができる」がポイントである。(Point :★1)また,本日の公開授業の中1においては,「実物や写真などの資料を見て,原因や背景など,今までの学習や知識を生かして説明することができる」がポイントである。(Point :★2)さらに,「資料を見て小学校で学習した内容を思い出し,小中の学習のつながりを実感することができる」がポイントである。(Point :★3)図2社会科部トップページ本時の学習(1)目標○日本の食料自給率の変化のグラフから今後の食料自給率の変化を予想できる。【観察・資料活用の技能】○日本の食料自給率を高める必要性を理解できる。【社会的事象についての知識・理解】(2)展開(つながりのポイント★)学習活動指導上の留意点と支援備考1外国産食料品の果たす役割につ・外国産食料品が多く輸入されているこ食料品の写真いて考える。とを捉えられるように,近くの店で撮っ産地図(1)身近に外国産の食料品があた写真や以前作成した産地図を提示し,ることに気付く。食料品についての学習という見通しを(2)外国産食料品が多い理由をもたせる。考える。・外国産食料品が多い理由を考えさせる・食の欧米化。ことで,輸入した食料品が日本の食生・旬の時期以外を補う。活を支えていることを理解させる。・外国産の食料品が安い。・考えにくい児童には,食料品の値札写真を見せ,外国産の良さを考えさせる。外国産の食料品が多いと,どんな問題があるのだろう2日本の食料生産について考える。・言葉の意味やグラフの読み取り方を確グラフ(1)「おもな国の食料自給率の変認し,各国の食料自給率の状況を正し化」のグラフを読み取る。く捉えられるようにする。・日本は約40%しかない。・グラフから読み取れたことをグループタブレット・昔の日本は約80%あった。で交流させることで,日本の食料自給ワークシート・外国との差が大きい。率の低さを理解させる。・今後も下がり続けそう。・グラフの値をもとに日本の食料自給率・これからも低いままだろう。の今後の変化を予想させ,問題の深刻さに気付かせる。<★1>(2)日本の食料生産の問題につ・食料品を輸入に頼り切ることの問題点いて考える。を考えさせることで,日本の食料自給ワークシート・国産の食料がなくなる。率を高める必要性や自分たちの生活と・輸出されなくなると困る。の関わりの深さを理解させる。3本時の振り返りをし,次時への・本時を振り返らせることで,食料自給見通しをもつ。率が低い原因をさぐる次時への見通しをもたせる。図3本時の展開メージワークを活用することで小中の教職員が協働し,9年間を見通した授業づくりができるようになったとともに,頻繁に会合をもつことが困難であるという分離型のリスクを最大限減らすことにつながった。今後は成果を検証し,取り組みの改善につなげ,より良い小中一貫教育を推進していくことが必要である。13