ブックタイトル社会科navi Vol.12
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社会科navi Vol.12
アンケートでも導入への賛否が分かれている。本授業は,全3時間で構成された。第1時では,1行政,2交通,3~5各区の住民(3グループ),6マスコミ,7フォーラム主催の7つのグループで,新潟市の交通政策やBRTについての資料に基づく把握と,BRTのメリット・デメリットの抽出を,調べ学習として行った。このような政策課題に関する事実の調査・分析が重要である。第2時では,抽出したメリット・デメリットのグループ内での共有と,BRTの第2期開通区間をどうするかという発表内容の決定のためのグループ討議を実施した。ここまでの2時間では,写真1のとおり,ファシリテーターの大学院生が各グループの調べ学習やグループ討議を支援した。また,指導者の田中教諭も,自らの見解を述べることはなく,生徒の議論を促進する役割を担った。第3時は,各グループが討議の結果まとめた意見を「地域社会フォーラム」として写真2のように提案し,質疑応答を行ったうえで,生徒個々人がどのグループの提案を支持するかについて模擬投票を実施した。本授業は,調べ学習→グループ討議→フォーラムによるクラス全体での発表と討論→模擬投票という過程をとった。本授業は,このような過程を写真1グループ討議の様子写真2各グループでまとめられた提案の例とることで,事実分析・価値判断それぞれの局面で,学習者が自らの思考内容を能動的かつ適切に表現できるものとなっていた。この点で,本授業の学習デザインは,今後の主権者教育実践に示唆を与えるものといえる。4.主権者教育の課題最後に,主権者教育を今後さらに推進するために考えたい課題を述べる。(1)政治的中立性を捉え直す教育における政治的中立性は,特定の政党を支持または反対するための政治教育・政治活動の禁止を意味する。それとともに重要なのは,この概念が,良識ある公民として必要な政治的教養の尊重,という政治教育の原則を支えていることである。主権者教育を推進するうえでは,この点に注目したい。具体的には,政治的中立性を,個人の政治的・社会的な考えやその表明を制限するものではなく,政治的・社会的課題に対して意見を自由4