ブックタイトル社会科navi Vol.12
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社会科navi Vol.12
特集主権者教育を考える主権者の資質育成を目指す社会科授業中学校社会科公民的分野単元「税金の使い方について考えよう!」を事例として神戸市立伊川谷中学校教諭井上昌善1.主題設定の理由昨今,公職選挙法が改正され18歳選挙権が認められることになり,主権者教育の重要性が増している。中学校現場でも,主権者の資質育成を目指した社会科授業の実践が,今後一層求められよう。本稿では,主権者として必要な資質の育成を目指す社会科授業を紹介する。今回取り上げるのは,税金の使い方について考えさせることをねらいとした公民的分野の授業である。三木義一によれば,税のあり方についての認識を深め,税の制度について検討していくことこそが主権者の責任であるとされる1)。つまり,主権者の資質とは税金がどのようなものに使われ,これからの未来の社会における税の使い道について探究していこうとする姿勢・態度のことであり,この資質を育成することが主権者教育のねらいといえる。このことを踏まえ,本単元の中心となる事例として取り上げた事象が,神戸ルミナリエである。神戸ルミナリエは,阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂や都市の復興・再生を目的として,1995年から毎年12月に開催されている事業であり,その運営費の一部は自治体からの補助金で賄われている。つまり,神戸市民の税金が使用されているという点で公共性を有するものと捉えることができる。税金が使用されている事業やサービスが有する「公共性」という性質について考察させることを通して,将来自分たちが払った税金はどのようなものに使用されるべきか,その判断基準を育むことができるのではないかと考え,学習の中心となる事例として神戸ルミナリエを設定した。2.開発単元の概要と展開開発した単元の概要が表1である。到達目標(知識目標)は,以下のようになる。【表1】段階主な発問習得させたい主な知識第一段階(一時間)第二段階(一時間)第三段階(二時間)○なぜ,一部の人しか行かないのに神戸ルミナリエに税金が使われているのだろうか?○神戸ルミナリエの開催によって喜ぶ人,困る人はどのような立場の人たちなのだろうか?○税金を使って事業やサービスを行う際に,どのようなことに注意するべきだろうか?○神戸市が税金を使って行っている事業やサービスは,必要か不必要か考えよう。【到達目標(知識目標)】○神戸ルミナリエには,税金が使われており公共事業である。税金が使われている事業やサービスには,みんなのために必要とされるものという性質がある。○様々な立場の人たちが影響を受けることから,神戸ルミナリエの開催によるメリット・デメリットがある。○生活している人々や未来の人々にとって,有益なものかどうかを確認すること。生存権を保障するものかを確認すること。○神戸市が税金を使用することによって運営している事業やサービスは,様々な立場の人々にとって有益なものである。もしくは有益なものではない。私たちが支払う税金は,公共事業や公共サービスに使われる。税金が使われる公共事業や公共サービスは,民意が反映されている8