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概要

社会科NAVI Vol.13

授業力アップをめざす先生のための小学校編社会科っておもしろい!!●國學院大學教授安野功社会科って,本当はすごく魅力的な教科なのです。子どもにとっても教師にとっても。社会科の一番の魅力は,みんなで「?」=不思議を見つけ,その秘密を解き明かすことです。社会科は暗記教科ではありません。自分の目や耳,頭をフル回転させて問題を見つけ,友だちと知恵を出し合い,それぞれの子どもがその子らしい自分の考えを出していく。それが本来の社会科の姿なのです。それはなぜか。社会科はソーシャルスタディーズ(social studies)の訳語だからです。スタディ=研究・探究。ラーン(learn)=習得ではありません。しかも複数形です。つまり,教師に教えられたことを覚えて身につけるのではなく,みんなで探究し合い,自分の考えを創り出していく教科なのです。探究といっても,小学校はその入門期にあたり,高度な学習が求められているわけではありません。探究や問題解決のはじめの一歩は「問い」=「?」を見つけることです。それを大事にすればいいのです。例えば,ある小学校の4年生が通学路の危険な場所を調べて「校区ひやりマップ」をつくりました。交通事故の心配がある場所を調べ,そこに赤シールを貼り,危険な場所が一目でわかる地図をみんなでつくったのです。すると「N通り」は赤シールがいっぱい。その子どもたちの驚き(発見)を受け,先生がだめ押しのグラフを提示します。子どもたちが住む区が市内で最も交通事故の多い地域だという事実を示すグラフです。子どもたちの顔が一瞬暗くなります。ここで教この発言をきっかけに「N通り」の交通事故を防ぐ施設・設備調べがはじまります。見つけた施設・設備のある場所に緑シールを貼るのです。ところが,予想とは裏腹に赤シールの多い場所(危険な場所)には緑シールがあまりありません。「あれ?これじゃあ交通事故だらけだよ!」その反応を待っていた先生は,「N通り」の事故件数の資料を提示します。「0件だ」「よかった。でも何で0件?」「施設じゃなく,警察の人が頑張っているのかな?」この素朴な問いの発見の連続が,その後,「警察の人はどのようにして事故を防いでいるのだろう」の追究の原動力になっていきます。このように,一人ひとりの子どもに驚きや不思議を体験させ,素朴な問いを引き出していく。そして,教師の支援を受けながらも自分たちの体と頭で秘密を解き明かしていく。この問題解決の連続こそが社会科の醍醐味であり,一番の魅力なのです。ほかにも社会科には多くの魅力があります。それは,実社会で活躍したり,頑張ったりしている人に出会えることです。様々な人に関わって学ぶ。そして,答えが1つとは限らないこと。どの子の考えにも一理ある。それを認め合い友だちから学ぶことができるの科書を見た子どもが発言します。「でも,ふつう危ない道路には,歩道橋など(安全を守る施設・設備)があるはずだよ」です。社会科の一番の魅力は,みんなで「?」=不思議を見つけ,その秘密を解き明かすこと12社会科NAVI 2016 vol.13