ブックタイトル社会科NAVI Vol.13
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社会科NAVI Vol.13
みんぱくワールドシネマvol. 13「禁じられた歌声」2014年フランス・モーリタニア映画97分監督/アブデラマン・シサコ●国立民族学博物館教授竹沢尚一郎c 2014 Les Films du Worso c Dune Vision「みんぱくワールドシネマ」は,国立民族学博物館(みんぱく)が実施する映画会の名称である。これまで33本の劇映画を上映してきた。平成28年度はテーマを「出会いと創造」に刷新し,新たなスタートをきった。人と情報が大規模に地球上を移動する今日,世界中で文化を異にする人々の遭遇が増加している。その結果,移民の排斥や狭小なナショナリズムの高揚など,異文化に背を向ける傾向が一部に見られるようになってきた。これは異文化理解に基づき人間の文化的多様性を探求する民族学にとって看過できない事態である。文化的な他者との出会いを,潜在的な脅威として否定的にとらえるのではなく,新たな文化の創造の機会として肯定的にとらえる「共創」の態度が,今こそ必要だ。「出会いと創造」をテーマに,「みんぱくワールドシネマ」では,異文化やさまざまなサブカルチャーとの出会いとそこから生じる葛藤,交渉,創造が描かれた劇映画を上映していく予定である。(国立民族学博物館准教授鈴木紀)砂砂に書かれた物語漠にテントを張って暮らすトゥアレグ人家族。父と母,娘からなるこの家族は,両親を失った少年をひきとり,牛の世話を任せて暮らしている。少年の両親はトゥアレグ人の独立運動で命を失ったらしく,そのことは,「私の両親は音楽をつづけることで生き延びた」という娘の語りに示唆されている。一方,古都トンブクトゥの街では,イスラーム主義者による抑圧が過酷さを増していた。人びとは音楽を禁止され,サッカーに興じることを禁止され,意に反して武装勢力の一員と結婚することを強制される。とはいっても,人びとはそれに唯々諾々と従っているわけではない。サッカーを禁じられた若者たちはボールのないサッカーに興じ,武器をもってモスク(イスラーム寺院)14社会科NAVI 2016 vol.13