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概要

社会科NAVI Vol.13

社会科における思考力・判断力・表現力の育成について●大阪教育大学附属平野小学校副校長丸野亨1改訂の三つの柱と未来志向型社会科次期学習指導要領のもとで社会科に求められるのは,未来をイメージし創り出そうとする「未来志向型」の単元像であると考える。いわゆる「論点整理※1」によると,今回の改訂の目玉は,育成すべき資質・能力を「三つの柱」とし,学習指導要領等を構造化しようとしていることである。「三つの柱」とは,1何を知っているか,何ができるか(個別の知識・技能),2知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等),3どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びに向かう力,人間性等)である。そして,教育課程の構造を意識して進めていくことが要点である。すなわち,それぞれの柱を切り離して捉えて育成しようとするのではなく,構造的に捉え育成しなければならない。1何を知っているか,何ができるか個別の知識・技能3どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか学びに向かう力,人間性等三つの柱そのためには,「自分たちはどうすべきなのか」「どのようなことを大切にしてこれからを考えなければならないか」といった未来志向の問いを考えることを単元の中心に据えることが効果的である。自らの考えを持つために,より確かでより幅広い情報2知っていること・できることをどう使うか思考力・判断力・表現力等とそれらをつなげて考えることが必然的に求められ,その態度は主体的に課題解決に取り組み,学びに向かう人間性の育成へとつながる。2未来志向の思考力・判断力・表現力「たたき台」資料※2によると,社会・地理歴史・公民ワーキンググループで議論中の思考力・判断力・表現力等は,1社会的な見方や考え方を用いて,社会的事象(等)の意味や意義,特色や相互の関連を考察する力,2社会的な見方や考え方を用いて,社会に見られる課題を把握し,その解決に向けて構想する力,3考察したこと,構想したことを説明する力,4考察したこと,構想したことを基に議論する力,である。そして,それぞれについて,小・中・高の各段階に合わせて育成していくイメージが描かれている。私は2の「構想する力」に着目したい。「構想」とは,課題を見出し解決するために,社会事象の意味や意義,特色や相互の関連について捉えることにとどまらず,「自分たちはどうすべきか」「どのようなことを大切にしてこれからを考えなければならないか」といった未来を考えることであり,この「構想する力」を育成するのが「未来志向型」の単元だと考える。そして,「構想」は3,4で「説明」と「議論」の力へとつながる。自分から他者への一方向の「説明」にとどまらず,考えをつなげたり,組み合わせたりといった多方向からの「議論」が求められている点も,実社会への参加とこれからの社会形成のための資質・能力が強く意識されている。ここでも,未来志向型社会科への転換の必要性が読み取れる。4社会科NAVI 2016 vol.13