ブックタイトル社会科NAVI Vol.13
- ページ
- 6/24
このページは 社会科NAVI Vol.13 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 社会科NAVI Vol.13 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
社会科NAVI Vol.13
ESDでつなぐ小中一貫教育奈良市内の全ての中学校区で行われている小中一貫教育。「モデル校」(平成27年「パイロット校」と改称)である本中学校区では,ESDで小‐中をつないでいます。●奈良県教諭世界遺産学習とESDについて本中学校区では,「1小1中連携型」の「モデル校」として,9年間を見通したカリキュラム,つまり柱を編成して小中一貫教育を展開している。柱を設定する際には,「都跡らしい教育」となるよう熟慮した。結果,柱を世界遺産学習とした。教育課程企画特別部会の論点整理では,これからの日本を考えていく新しい教育のひとつとして,ESDを紹介している。ESDとは,持続可能な開発のための教育の略で,「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」と文部科学省は定義している。一方,奈良市教育委員会は,世界遺産学習を「世界遺産や地域遺産,伝統文化,自然環境,平和,人権など多様な学習へと展開することで持続可能な社会の担い手を育てることを目的とした学習」と定義している。両者の目的は一致しているといえる。下でも紹介するが,恵まれた立地にある本校区においては特に大事にしたい学習である。坊制が敷かれていた平城京の道の名前である。端々に「都の跡」を感じることのできる校区である。また,薬師寺や唐招提寺の関係者が,保護者にいる学年もある。このような恵まれた立地であるため,上述した「都跡らしい教育」として,世界遺産学習を設定することになった。系統立った世界遺産学習にするために小中一貫教育が始まる以前から,世界遺産学習は行われてきた。しかし,小‐中間の学習内容や方法の共通理解がなかったり,9年間の系統立ったカリキュラムでなかったりというのが現状であった。そこでまず,小‐中の研究主題のすり合わせを行った。結果,副題を「9年間を見通した世界遺産学習を通して」と同じ文言に揃えた。次に,学習内容と方法を洗い出すことにした。すると,学習内容や方法,付けさせたい力を基に4つのステージに分類することができた。下表にまとめる。校区の特徴本中学校区は,平城宮跡,薬師寺,唐招提寺という3つの世界遺産を有している。都跡という校名の由来は,読んで字のごとく「都の跡」である。1300年前の都跡小学校や都跡中学校の位置は,平城京の敷地内であった。都跡小学校の住所は「奈良市四条大路」であり,都跡小学校の校門から100mほど北へ行くと「三条大路5丁目」という交差点がある。都跡小学校と都跡中学校の間には,五条町や六条町という地名もある。これらの地名は全て,条ステージ学年ステージの概要しるわかるふかめるひろげる小1小2小3小4小5小6中1中2中3世界遺産や地域遺産にふれ,地域の「宝物」を守っていこうとする態度の素地を養う。世界遺産や地域遺産を守っていくために尽力した人々の思いや,世界遺産そのものについての知識を学ぶ。別の視点から地域遺産や世界遺産を捉え直すことで,考えを深める。他の都市と自分たちの「まち」を比較・分析することで,自分たちの「まち」を見つめ直す。▲表:都跡小中学校における世界遺産学習の4つのステージ(筆者作成)6社会科NAVI 2016 vol.13