ブックタイトル社会科NAVI Vol.13
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社会科NAVI Vol.13
▲地域の方の力を借りての平城宮跡オリエンテーリング▲タブレットを活用して平城宮跡をガイドまた,1年間が1つのステージで終始することなく,その学年内でも「しる」「わかる」「ふかめる」「ひろげる」という4つの段階を設けるよう配慮して,学習を進めていくことを確認した。さらに,9年間の学習内容の系統表や評価規準を作成したり,重点学習対象を設定したりして,より系統立てた世界遺産学習を進めることができるように整備した。小学4年生の実践から小中一貫教育全国サミットin奈良が開催された27年度,筆者は小学4年生を担任していたため,4年生の実践を紹介することにする。4年生の世界遺産学習は,いわゆる「中興の祖」を切り口に,学習を進める。1学期は,「棚田嘉十郎と平城宮跡」をテーマに,「田畑となっていた平城宮跡は,どのようにして世界遺産になったのだろう」と学習課題を設定し,オリエンテーリング【写真左】や,ゲストティーチャーの話,地域資料から学びを進めた。社会科小単元「地域の発展に尽くした人々」とも関わりをもたせた。2学期は,「高田好胤と薬師寺」をテーマに,「荒れていた薬師寺は,どのようにして世界遺産になったのだろう」と学習課題を設定し,ゲストティーチャーに,学年の保護者でもあった薬師寺の僧侶を招いたり,その方による薬師寺案内を受けたりして,学びを進めた。1学期の学び方を活かした学習となるよう配慮した。ESDを実践する際,外せないポイントのひとつに,行動化が挙げられる。1年間の最後の「ひろげる」ステージであること,さらに行動化を組み込むことを踏まえ,3学期は,これまで学習してきたことを発信する場面を2つ設定した。1つ目は,ユネスコスクール交流である。これは,奈良教育大学のESDコンソーシアムの援助を受け,成立したものである。彦根市立の小学校の4年生と交流し,「まちの宝物」である彦根城と平城宮跡を互いにガイドし合い,学びの発信の場面とした【写真右】。2つ目は,2分の1成人式である。昨今の世論も考慮し,保護者へ感謝の気持ちを伝える場のみとするのではなく,学びの発表にも重きを置いた。式終了後の懇談会で,保護者は「この1年間の取り組みはずっと忘れないだろう」と,取り組みや式を肯定的に捉えていた。おわりに小中一貫教育にせよ,ESDにせよ,目に見える子どもの変化が現れるには時間がかかる。しかし,小中学校の教職員が共に義務教育9年間をどうするかを話し合うことは,子ども理解や教材理解につながり,ひいては子どもの学びや成長となる。今後も,小中一貫教育とESDを活用することで,子どもの学びや成長を支えていきたい。社会科NAVI 2016 vol.13 7