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概要

社会科NAVI Vol.13

本時の展開例児童の活動と内容指導上の留意点…配分時間教…教師の発問・指示・説明例児…予測される児童の発言1最近の食事を振り返る。5分教この一週間ぐらいで,どんなものを食べましたか。児私はカレーを食べました。ジャガイモやニンジン,お肉も入っていました。教○○さんみたいに,お肉を食べた人はいるかな。そのお肉って,どうやってつくられているんだろう。・身近な食生活を振り返り,生活経験と学習内容を結び付けて考えられるようにする。・食事でどんなものを食べたか,児童の発言を促すようにする。・児童に広く意見を求めるようにする。学習問題お肉が消費者に届くまでの様子を調べよう。2お肉を選ぶ時に大切にしていることを話し合う。10分教お家の人や君たちがお肉を選ぶ時,どんな事を大切にしているかな。児「安心・安全」です。食べるものだから。児私は「産地」に気をつけています。「国産」のものがいいな。グループでは「安全性」にも関係しているのではと話し合っていました。でも,「値段」も気になります。3消費者のニーズと畜産業の仕事の関係を調べる。15分教私たち消費者の思っていることと畜産業の仕事って,関係があるのかな。調べてみましょう。児何回も検査して,「安全」なお肉を出荷しているね。児冷やして出荷していて,これも「安全」に繋がると思います。児白い服を着て,汚れが分かるように工夫しているみたいだね。児「衛生」にも気をつけていて,鳥インフルエンザとかが出たら,殺処分するみたいだよ。4殺処分するべきかするべきでないか,価値判断する。15分教鳥インフルエンザ等が出たら殺処分すべきだと思いますか。児人間にかかるかもしれないから,殺処分するべきだと思う。そして,次に活かすことが大切だと思います。児それは人間の都合で,鶏にも生きる権利があると思います。・生活経験をもとに,消費者の思いに迫るように促す。・グループで対話するようにし,話し合ったことで重要だと考えたものを各グループでミニホワイトボードに書き,黒板に貼るようにする。・各グループが貼ったミニホワイトボードは,グルーピングして,考えを視覚化するようにする。・教師が作成した資料や関連書籍,ICTを活用して,畜産業者の仕事内容を調べ,意見を交流するようにする。・児童が調べたことを,自由に電子黒板にうつしながら,意見交流できるようにする。・「安全・安心」な畜産業が行われていることを理解することができるようにする。・時事問題から,社会的事象に迫るようにする。・自他の様々な考え方を認め合いながら,話し合いが進むようにする。・殺処分までして,衛生に気をつけていることを掴むことができるようにする。授業を終えて…國學院大學教授安野功先生からの児童は,買い物に行った時に家族がどんな基準でお肉を選んでいるか,自分ならどんなお肉を選ぶかという事を活発に意見交流していました。生活の様子を意識させることで,畜産業に携わる人たちの仕事について,積極的に調べ,対話の中から学びを深める姿が見られました。また,家畜伝染病などの問題について取り上げ,なぜ家畜を殺処分するのか新聞記事から考え,その施策は正しいのか価値判断する場面を設けました。子どもたちは,主に「人間の立場」「家畜の立場」「生命倫理」「経済」の面に価値を置いて考え,活発に意見交流していました。すごい子どもたちが育っていますね。時事問題であるTPPに関心をもっているというのですから驚きです。さて,畜産業者にとってTPPは深刻な問題です。外国との価格競争に巻き込まれるからです。でもこの問題は国民の食生活とも深くかかわる重大事です。食の安全を脅かされる恐れがあるからです。そのことを踏まえ,本実践ではグループでの対話を通して消費者のニーズや願い(「産地=安全性」と「価格」)に気づかせます。その上で食の安全が日本の畜産業者の手によって実現されている事実に出会わせるという見事な流れになっています。こうした人々の営みに出会わせることで,我が国の産業の発展に関心をもつ子が育つのですね。社会科NAVI 2016 vol.13 9