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概要

社会科NAVI Vol.14

中学校編今,求められる社会科授業とは?●大阪教育大学・大阪成蹊大学・武庫川女子大学非常勤講師丹松美代志●アクティブ・ラーニング登場の背景我が国の産業別就業人口(総務省,2010)は,第1次産業4%,第2次産業24%,第3次産業72%です。しかし,現状の社会科の教科内容は,第1次・第2次産業が中心です。21世紀の担い手となる生徒には,彼らが生きる時代にふさわしい教科内容を準備したい例えば,アメリカの多様な民族や移民の問題を取り上げる時,人口減少の始まった我が国はそこから何を学ぶのかにも言及してほしいと思います。他地域の学習をするときは,自分の住んでいる地域とのかかわりにも目を向けてほしいと思います。これらのことは,学ぶ意味を探ることにもつながります。ものです。今後,人工知能やロボットの登場で産業構造は大きく変化し,幅広い知識と柔軟な思考力に基づく個々の判断力がいっそう重要とされます。前号でも触れたように,実社会や実生活とのつながりを求めて登場したアクティブ・ラーニングは,生徒に主体的・能動的・協同的に学び,思考力を深めることを求めています。2020年から小学校を手始めに中・高と実施される●生徒中心の学びへ経済協力開発機構(OECD,2010)は共同研究として「学習科学」を提唱し,学び手中心の学びを提起しています。「チョーク&トーク」の教師中心の授業から,生徒自らが課題を追究し学び合う授業への転換が求められています。「対話と協同」の授業を創るために,机の配置は以下の図のようになります。新学習指導要領は,育成すべき資質・能力の三つの柱の一つとして「どのように社会・世界と関わり,より■「対話と協同」の教室の特性コの字の教室男女混合の4人のグループよい人生を送るか」を掲げ,アクティブ・ラーニングの視点から不断の授業改善を通してどのように学ぶかが問われています(中央教育審議会教育課程特別部会資料,2015)。社会科はその中核を担う教科です。女男男女アクティブ・ラーニングを社会科で実践するには,生徒と実社会・実生活とをつなぐ手立てが必要です。そのために次の三つの視点を大事にしたいものです。■「今,ここ,私」を意識した教材づくりが大切「今」:今日的課題,タイムリーな課題,時事問題とつながっている「ここ」:校区や学校のある市町村・都道府県とつながっている「私」:生徒の生活や学校の課題,地域の課題,我が国の課題とつながっている生徒中心の学びを実現するために,生徒どうしが互いの表情やしぐさも含めてコミュニケーションをとることのできる学習形態として,「コの字」と男女混合の4人グループによる授業展開が行われています。そこでは,聞きたい生徒が必要な時に仲間に尋ねて,学び合っていきます。今,求められている授業は,生徒自身が教師の支援と仲間との協同で学習課題を追究する授業です。次号では,「対話と協同」の授業をどうつくればよいのか,考えていきましょう。社会科NAVI 2016 vol.14 7