ブックタイトル社会科NAVI Vol.15
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社会科NAVI Vol.15
ようこそ!歴史史料の世界へvol.16ワシントン海軍軍縮条約●関西学院大学教授高岡裕之▲ワシントン海軍軍縮条約(国立公文書館蔵)第一次世界大戦と海軍拡張競争アメリカの首都ワシントンで,1921(大正10)年11月から翌年2月まで開催された海軍軍縮会議は,人類史上初の国際軍縮会議であった。20世紀初頭の海軍拡張競争は,世界最大の海軍国イギリスとそれに挑戦するドイツを中心に展開された。この英独建艦競争は,第一次世界大戦におけるドイツの敗北で終焉するが,その最終局面で台頭してきたのがアメリカと日本であった。アメリカは大戦への参戦に先だつ1916年に,戦艦8隻,巡洋戦艦6隻を基幹とする大建艦計画を成立させ,イギリスに比肩する海軍力の整備に着手した。日本もまた大戦景気を背景に海軍拡張をはかり,1920年には海軍の宿願であった「八・八艦隊」実現に向けた予算が成立した。イギリスも自らの地位を守るべく主力艦増強計画に着手し,新たな海軍拡張競争が開幕しつつあった。しかし,アメリカでは大戦の終結とともに,海軍拡張に反対する世論が高まり,大戦景気が終わった日本でも,財政面から海軍拡張の実現可能性が憂慮されるようになった。大戦で疲弊したイギリスの財政的困難はいうまでもない。海軍軍縮はいずれの国にとっても,必要とされていたのである。10社会科NAVI 2017 vol.15