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概要

社会科NAVI Vol.15

地域からの発信木質バイオマスの有効利用先進地●銘建工業株式会社取締役総務部長安東真吾木質バイオマスとは?木は「再生産可能な資源」木を,伐ってしまっても植えれば,また再生産することができる。木質バイオマスエネルギーの利用石油や石炭などの化石燃料の代わりに木を使うことで,化石燃料の消費を抑え,温暖化を防ぐ。「バイオマス」とは,生物資源(bio)の量(mass)を表す言葉であり,「再生可能な,生物由来の有機性資源(化石燃料は除く)」のことを示す。そのなかで,木材からなるバイオマスのことを「木質バイオマス」と呼ぶ(林野庁ホームページより)。●木材利用は環境に優しい?「森林を伐採するのは環境破壊だ!」というイメージをもってはいないだろうか?しかし,伐採したあとに植林するなど,森林資源を循環的に利用するという適切な管理がなされていれば,どんどん木材を使うことが環境をよくすることにつながるのである。森林は,地球温暖化問題の原因とされる二酸化炭素を吸収する機能をもつ。樹木のこの機能は若いほうが吸収率が高く,生長するに岡山県真庭市●人口46,124人●面積829km2(平成27年現在)省エネ効果CO2CO2の固定効果木材資源木材・木質材料エネルギー木材は省エネ素材木材は加工のための消費エネルギーが他の素材に比べて少ない。CO2の貯蔵効果つれて衰えてくる。したがって,生長した樹木を伐採して若い樹木に植え替えたほうが,森林全体としての二酸化炭素吸収力を維持・更新できるのである。また,伐採された木材は内部に吸収した炭素を蓄積しているので,材料として利用されている間は空気中の二酸化炭素を閉じ込めたまま,つまり炭素の貯蔵効果は維持されるのである。木造住宅などが「街の中の森林」と呼ばれる由縁である。その他にも,他の資材と比べて非常に小さいエネルギーで加工できること,木材製品として利用できない木材や製品寿命をまっとうした木材は木質バイオマスエネルギーとして利用でき,枯渇性の化石資源を代替できることなど,森林資源の循環的な活用は人間にとって暮らしやすい地球環境を維持していくために,大きな効果を太陽エネルギー樹木の生命力森林(主に人工林)CO2リサイクル再利用木造住宅・家具エネルギー解体材発揮するのである。日本の現状木質バイオマスエネルギーの利用燃やす化石燃料の抑制効果木材はリサイクル可能木材は,一度利用された木材を新たな製品につくり替えたり,再利用したりすることが可能。日本の国土の3分の2は森林であり,世界第三位の森林率,有数の森林大国といえる。一方で戦後に大量植林した森林資源がようやく生長して伐採適齢期を迎えてきている中,生長に見合った利用ができていない。年間およそ1億立法メートルの森林生長量に対して2千5百万立方メートル程度しか利用できていない状況で,資源の有効活用どころか放置林の増加により水源涵養機能にも支障をきたす状況なのである。「安い外国産材に押されて需要が伸びない」という声もあるが,その裏には林業・木材産業の競争力や木材需要の構造的な問題などがあり,これらを解決していかないと前に進まないのだ。例えば,日本における木質資源活用の構造的16社会科NAVI 2017 vol.15