ブックタイトル社会科NAVI Vol.15
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社会科NAVI Vol.15
リレーエッセイ校区の歴史・地理を教える大阪市立大学教授水内俊雄最近,大学の教育・研究機能と並んで,第三の機能としての「社会貢献」の重要性が強調されている。在籍する大学でも,立地する近隣の自治体との協定に基づく事業を展開している。一例として,地域の資料や写真,地図など,歴史的価値のある資料を収集・整理・公開し,次世代に伝えていくことを目的とした受託事業を実施している。この事業では,収集した資料を活用し,区内小学生高学年向けに地域の歴史と地理を学ぶ冊子を,小学校で学ぶ単元に沿って作成し,出張授業等を水内俊雄(みずうちとしお)専門分野/人文地理学主要著書/『空間の社会地理』(編著,朝倉書店,2004年),『モダン都市の系譜』(共著,ナカニシヤ出版,2008年),『都市大阪の磁場』(編著,大阪公立大学共同出版会,2015年)日本文教出版『中学社会』教科書監修者実施している。国内外,自分たちの地域で起こった事象を対比させることで,興味・関心をもたせる冊子の構成と指導の工夫をしている。2015年度は終戦後70年ということで,戦争,空襲と地域の歴史を中心に授業を行った。出だしは校章と校歌をプロジェクターで見せ,地域のどのような歴史や地理がつまっているかを発見する。次に,江戸時代の国絵図,明治期の地形図などを用い,視覚的に校名や住所名の系譜をしっかりおさえ,1地名にはいろいろな意味や記憶がつまっている,というメッセージを伝える。そのあとは,2広く社会で存在するものが,校区内にも存在する,3広く社会で起こった出来事が校区内でも起こった,ことを例示する。2の例としては,小学校の立地だけでなく,神社や祭りで説明することで興味を引き立てる。3の例では,学童疎開と空襲を出来事とし,身近な地域への関心を高める。そして校区に,4広く社会ではなかなか見られないが,校区内では見られる,というものがあれば紹介する。例えば,歴史的にモノやヒトの動きの多い区を例に,住吉大社,紀州街道,四天王寺など,ナショナルな存在を有する地域の豊かで奥深い歴史を,校区のミクロな歴史と合わせて知ってもらった。機会があれば,動態的で立体的な地域理解の一端を本誌でも紹介してみたい。社会科NAVI 2017 vol.15 3