ブックタイトル社会科NAVI Vol.15
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社会科NAVI Vol.15
「概念」と呼ぶ。概念を身に付けさせることを本気で目指すのであれば,評価の方法についても概念を問うことが必要になる。それは,筆記試験では難しいかもしれない。実際,ルーブリックを用いてパフォーマンスを評価するなどの新しい評価の方法が求められている。●ルーブリックのイメージ例が起こる場をデザインする必要がある。受動的な授業には,その場はない。ここで最も重要なのは,一人一人の学習者が自分の考えをもつことである。そして,そのために課題が何をどのような水準で要求しているのかを,学習者がしっかり把握している必要がある。それには,「思考スキル」をイメージすることが有用だろう。例えば,「比較する」「分類する」「関連付ける」などの頭のはたらかせ方だ。考えを論理的に説明する背景には,「関係付ける」や「理由付ける」などの思考スキルが潜んでいる。?対話的な学び対話的な学びについて,審議のまとめでは,実社会で働く人々について調べたり話を聞いたりする活動が示されている。同時に,グループ活動をするにしても,しっかり内容を深める必要があると書かれている。特に後者は重要で,特定の手法を取り入れる事だけで対話的な学びが生まれるのではなく,そこでどのように一人一人の考えが更新されるかが問われなければならない。これは,やはりそのための場がデザインされていなければ起こらないことだろう。?深い学びこれらの学習方法は,深い学びを生み出すためのものだ。深い学びとは,新しく得た知識がこれまでのものと構造化されることや,経験と結びついて身体化されることを指す。このような知識を,このようなドラスティックな変化が,なぜ求められているのだろう。実はそれは,日本だけでなく世界共通の潮流である。高齢化,大規模災害,通貨の多軸化,シンギュラリティ(人工知能が人間の能力を凌駕すること)など,先が読めない世の中で必要となる力は,既に定位された知識を正確に覚えることではなく,その場で必要な知識を手に入れ,有効に活用して,新しい解を生み出す力だからである。もちろん,これまでどおり,否むしろこれまでよりも知識・技能は重要だ。しかし,それは,「生きて働く」ものでなければならない。そして,知識・技能を働かせる思考力や,それを支える意志,メタ認知など,これまでとはちがったベクトルに,子どもを育てていくことが求められている。早急に,確実に。●尺度評価基準S特に優れた状態…できる…しているA合格と認める状態…できる…している3なぜ変わらなければならないか黒上晴夫(くろかみはるお)B何かが足りない状態…できる…しているCできていない状態…できない…していない近年は,思考ルーブリックによる授業設計と評価,シンキングツールの体系化と普及など,思考にかかわる領域での仕事に注力している。著書/『シンキングツール?考えることを教えたい?』(共著,NPO法人学習創造フォーラム,2012),『考えるってこういうことか?思考ツールの授業?』(共編著,小学館,2 0 1 3),『子どもの思考が見える2 1のルーチン?アクティブな学びをつくる?』(共訳,北大路書房,2015)社会科NAVI 2017 vol.15 5