ブックタイトル社会科NAVI Vol.15
- ページ
- 6/20
このページは 社会科NAVI Vol.15 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 社会科NAVI Vol.15 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
社会科NAVI Vol.15
授業力アップをめざす先生のための小学校編教科書を●教える?それとも教科書で●教える?~本当の教科書活用法その1~●國學院大學教授安野功社会科の教科書をどのように活用したらよいのか。ここのことは,中学年の地域学習だけにいえることではの教科書の活用をめぐる素朴な問いに対して,大別すると,二つの立場で異なる意見が交わされてきました。●その一つが「教科書を教える」であり,いま一つが●「教科書で教える」という立場です。そのことを踏まえ,社会科の教科書活用をめぐる,これまでの諸説を整理してご紹介するとともに,安野流の効果的な教科書活用法を述べたいと思います。●「教科書を教える」とは,言葉を補えば,「教科書の内容(資料や本文)を教える」ということです。6年生の歴史学習を思い浮かべてみて下さい。教科書の資料や本文を読み取り,要点をノートにメモしたり,それに基づく発表を板書に整理したりするという授業を度々目にします。●「教科書で教える」とは,「教科書を主たる教材とし,必要に応じて他の教材も加えながら,両者の効果的な活用を工夫して教える」ということです。教科書は全国版として,日本中どこの学校でも使えるように編集されています。このことは裏を返せば,自分の地域では必ずしも必要であるとはいえない内容(資料や本文)も掲載されているということです。3・4年生の地域学習を思い浮かべてみると,学習者である子どもが自分の住む市区町村や都道府県を舞台とした地域の社会生活について学習していきます。しかし,教科書に目を向けると,子どもの生活舞台とありません。5年生の産業学習や6年生の政治学習についても当てはまるのです。例えば,教科書では我が国の工業で自動車工業を取り上げています。もし,学校の近くに見学可能な製鉄所があったならどうしますか。私は自動車工場に代えて製鉄所を事例に単元を構成すると思います。見学・調査活動を位置付けた追究活動をリアルに展開できるからです。●このように考えると,社会科においては「教科書を教●える」ことができる場合もあるが,「教科書で教える」ほうが主流であると言えるのではないでしょうか。●ところで,「教科書で教える」という立場に立ったとき,どのような活用の仕方があるのでしょうか。これについては,子どもと教師の両面からその活用方法を考えてみる必要があります。まずは子どもです。子どもにとっては,学習への動機付けや活動の見通しをもつ際の,あるいは学び方や調べ方,調べたこと・考えたことの表現や整理・まとめの仕方を学習する際の手掛かりにするなど,子どもの主体的な問題解決をサポートする手引書としての活用が考えられます。次は教師ですが,これについては次号で安野流教科書活用法(教科書の読み解き方)を詳しく紹介します。は異なる市区町村や都道府県の様子と社会生活が取り上げられているのです。その事例を教えても,社会科のねらいが実現できるはずはありません。だからこそ,地域副読本を併用した授業が行われているのです。子どもの主体的な問題解決をサポートする手引書として教科書を上手に活用しよう!6社会科NAVI 2017 vol.15