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概要

社会科NAVI Vol.15

中学校編対話と協同の社会科授業をつくるには?●大阪教育大学・大阪成蹊大学・武庫川女子大学非常勤講師丹松美代志●シンプルな授業デザイン「学びの共同体」のモデルになったニューヨークのセントラル・パーク・イースト中等教育学校は,かつては生徒の貧困が深刻で,家庭崩壊や非行など様々な課題が山積した学校でした。その学校が,学校改革を始めた1980年代から今日までニューヨークでトップ●導入の工夫教師の考えた課題を,生徒がいつの間にか夢中になって追究する姿が,授業の醍醐味です。そのためには,具体物(写真,動画,実物,模型等)を用意して,生徒を本時の課題に引き込む必要があります。黒板には,そのねらいと授業の流れを明示したいものです。レベルの学力水準を維持し続け,卒業生の9割以上が大学に進学しています。そこで,校長として,教師として,改革をリードしたデボラ・マイヤーは三つの原則を掲げています。[『学校を変える力』(岩波書店,2011)]授業の流れ1234本時のねらい■Less is more(少なく学ぶことがより多くを学ぶこと)■Simple is better(カリキュラムと学校組織は単純なほど好ましい)■Small is sensible(小さな共同体によって繊細な関係が可能となる)●「共有と発展の課題」の設定授業の前半は,本時の基礎事項をていねいに学ばせる「共有の課題」を設定します。教科書の本文はもちろん,図表や写真なども読み取らせる課題を考えたいものです。後半は「共有の課題」をテコにして,社会そこで,授業デザイン(学習指導案)を次のようにシンプルに作ります。1導入:コの字の配置で,本時の課題に生徒を誘う仕掛けを考えます。2「共有の課題」: 4人グループで,教科書を活用して,本時の基礎事項を習得させます。3「発展の課題(ジャンプの課題)」: 4人グループで,教科書レベルを越える高い質の課題にチャレンジさせます。4振り返り:課題が達成できたかを各自に振り返らせます。科ならではの高い質の課題(「発展の課題」)に挑戦させます。そのためには,生徒が追究できる資料を用意する必要があります。いずれも4人グループでの学び合いをベースに,時には,それをクラス全体に広げて対話を深めます。生徒には,教師と仲間との対話と協同で内容を深める資質を育ませたいものです。そのためには,生徒どうしのケアする関係が必要です。1人の教師が40人の生徒をケアするには限界があります。生徒どうしの支え合いがあってこそ,一人残らず学べるのです。次回は「学び合いとは何か」を考えていきましょう。社会科NAVI 2017 vol.15 7